2022-01-01から1年間の記事一覧
知恵のかたまりが詰まったテキストのよう。 〈当事者研究の実際〉の豊かさはもちろんですが、当事者研究の基本の羅列はとてもしっくりきます。 文中にある「起きている苦労のメカニズムの解明や見極めの方法として生まれたのが〈当事者研究〉」はなるほどで…
最近の散歩のBGMは白竜の初期3枚のレコード音。ファースト、セカンドLPはレコード店ではなく、通信販売で買い求めた記憶がある。 スタジオライブの一発録音、バンド全体の若さとエネルギー、今を表現したいという白竜の思いが詰まっていて、冬の寒さで…
4月以降、日中テレビを観る時間ができたおかげでタイトルの番組を知り、再放送を楽しんでいる。時系列に観ていないので、ご住職、滋瞳さん、まっちゃん3人の番組を通しての歩みは判らねど山寺の暮らしを楽しむ達人ぶりに頬が緩む思い。 この3作目では、滋…
この続編と言うべき「介護民俗学へようこそ!」から先に手を付け、遡るようにこの本を読んだ次第。 読む前に、タイトルが大胆だなと思っていたのが、終章の「驚き続けること」という文の中で本書で使用している「驚き」の意味について書いていて氷解。タイト…
タイトルの「バンピー BUMPY」を調べると、「でこぼこ道のような、浮き沈みの多い、波瀾万丈」などの和訳があり、表紙のイラストがそのことを表しています。 3年前に母親が亡くなり、父親が5ヶ月前に理由も分からないまま失踪。主人公役の高校生のボク・成…
本来の「三方一両損」または「一両損」を改題し、噺の山場を職人二人の〈本気半分、江戸っ子の意地っぱり半分が愉快〉を〈ずばり、本気だけ〉でいったと作者の後書きで綴っています。そのため、最初から最後まで話がすっきりとつながり、読んでいて気持ちよ…
作者最初の落語絵本。「絵本作家の百聞百見」(子どもの未来社)に、この作品が生まれた経過が書いてあります。 元々、「絵本は児童文学よりもはるかに落語に近い」と作者は言っていたそうで(何しろ同書には落語のCDを650枚ほど持っているとも書いてい…
サブタイトルは。「〈すまいるほーむ〉の物語」。 「障害をしゃべろう 上巻」(青土社)で著者のことを知り、前著「驚きの介護民俗学」を飛ばして続編的な本書にたどり着きました。 「聞き書き」を始めた前職の大規模介護施設から現在のディサービスに移った…
落語「たがや」のタイトルだけを使い、まるっきりオリジナルのお話に仕立てた作品。 江戸の両国川開きの花火大会のかけ声「たまやーっ」「かぎやーっ」を紹介しながら、扉のページには「たが屋」という職人の仕事を絵だけで結びつけ、たが屋の夫婦と長屋の皆…
以前読み、もう一度読みたいと思いつつも作者とタイトルを忘れてしまい、探し当てるまでにずいぶんと時間を要しました。記憶では、兄弟がアウトサイダーアートと呼ばれる芸術分野の塔を建て、その塔が壊されるのを阻止する…そんな断片的な記憶だったので、仕…
デイブ・メイソン初期のCDを手に入れて聴いているうちに、そういえば最新で最後のCDも聴いてみたいと思い、入手。 1970年代中頃の太くて包み込むような声と聴いてすぐ判る特徴的なギターの音、いかにもというフレーズがある曲…それらとは違う200…
落語の話をそのまま子どもが読む絵本の世界に持ち込むと差し障りが生じてしまう…〈見世物〉を現代風にするために〈特殊能力を持った人〉がその能力を見せる仕掛けとしてテレビ番組を考えたところが作者のうまさ。 江戸時代にテレビ?ですが、絵本の世界では…
落語が好きで、数多くの落語を聴いてきた作者ならこそのオリジナルに近い作品。 後書きのような解説の中で、この話は中学生の時にテレビで金原亭馬生の演で見た限り、その後一度も見聞きしたことがないと書いています。 ただ、この話のオチがおもしろくて記…
三輪裕子さんは、旅や自然の中で育まれる子どもの成長を描いている印象が強い作家です。 洋平と雄斗は大の仲よし。しかし、小学校5年生の時、雄斗は家族ぐるみで三宅島へ引っ越します。雄斗から洋平には島へ遊びに来るよう誘われますが、いかんせん新型コロ…
おめでたい正月ネタの落語を絵本にした作品。床の間の正月用掛け軸をほめると「一つ、目があがる」というおめでたいお話。 落語ではおなじみの八つぁんが、年始のあいさつで横町のご隠居を訪ね、床の間のおめでたい掛け軸を見せられ、ご隠居から掛け軸を誉め…
クレヨンハウスの「落語絵本シリーズ」を受け、再び始めた「らくごえほんシリーズ」。 この「てんしき」は、一般的なオチとは違う作者が考えた〈子どもにもわかる〉オチに変えています。 〈知ったかぶり〉の和尚さんや花屋や石屋さんたちおとなをからかう小…
きょうの「こころ旅」の目的地は、熊本県八代市球磨川河口にある〈鼠蔵山(そぞうやま)〉。手紙を出した人は、保育所の頃、この山をその形から〈人形劇:ひょっこりひょうたん島〉にそっくりだと思っていたそうな。 もう35年くらい前になるか、川崎にある…
「落語絵本」シリーズ15作の14作目。 「絵本作家の百聞百見」(子どもの未来社)の「取材の大切さ」に、雅楽に使用する火焔太鼓はとても大きく、落語では演じることはできても絵本では絵にできず、一度は諦めたそうですが、取材で明治神宮の雅楽の奉納を…
「古典部」シリーズの派生もの?なのかと思って読んだら、主人公2人のキャラクターと扱う謎解きの分野は「古典部」とは相当かけ離れている。共通するのは謎解きだけ。その謎解きも、この作品では謎解き役・松倉詩門の観察眼とどこか他人事のように突き放し…
新しい物語が始まりました。どこまで続くのか、どんな物語になっていくのかまったく想像できませんが、他の長編シリーズ同様、おもしろさは格別。 1巻目のタイトルは、「その夜、森で何が起こったか」。 後にティゲルファルと呼ばれるようになる少年が主人…
「落語絵本」を読む下準備のためにこのエッセイ集を読み始めたが、懐かしい人の名前を発見。 「食べ物のこと」という章の「旅と食べ物」という文の中に、〈北見の本屋の相澤さん〉に触れている箇所がある。講演会に呼ばれ、相澤さんと行ったラーメン屋の塩ラ…
帯には「稀代のコラムニストの遺稿集にして傑作コラム集」の言葉。 編集部による「まえがきに代えて」で触れているように、このコラム集はウェブ上で発表したものから選んだもの。一部、小田嶋隆さんが語った音源を次のように紹介している。「紙媒体のコラム…
元は、「柳家小三治・落語〈芝浜〉より」。 大作の人情話をこれ以上は無理までそぎ落とし、夢を見たと勘違いしてから後半の目が覚めた魚屋の奮闘ぶりに焦点をあて、夫婦揃って温かい家族の物語に仕上げています。 表紙には、荒く押し寄せる波と財布が描かれ…
ブルース・スプリングスティーンの新作「ONLY THE STRONG SURVIVE」を入手して、中学生の頃に大ヒットしていた「太陽はもう輝かない」があったのでビックリ。 ウィキペディアでは、フランキー・ヴァリのカバーとなっているが、当時の日本(1966年 手話4…
サブタイ トルは、「柳家小三治・落語〈千両みかん〉より」。 表紙が表・裏通しの1枚で、大きな商家・大店の構えとその前を行き交う人通り、そして表紙の中央に意味ありげな1個のミカン。一度読んでからこの表紙の絵を見るとお話の世界がふくらみます。 表…
『柳家小三治・落語「死神」より』シリーズの1冊。 子ども向けに文を省いている部分を木版画の世界が補っている。まさに絵本ならではのできばえ。 小三治師匠が思い描く江戸の庶民や商家の暮らし、街の細かいところを木版画が収まりの良い色づかいで表現し…
元は「柳家小三治・落語〈粗忽長屋〉より」。 表紙をめくると小三治師匠による「長屋住まいの庶民の暮らし」のミニ解説。 話の手始めに、話のカギとなるそそっかしい粗忽者の説明を付け、浅草・浅草寺界隈の賑わいをくっきりとした木版画で描き、行き倒れを…
元は「柳家小三治・落語〈猫の皿〉より」。 シリーズ5冊の中では解説なしですんなりとお話を楽しめる作品。文と絵が一体となり、自分の目利きを過信し、人の良さそうな茶店の主人を欺こうとする道具屋の表情と人の良さを演出しながら道具屋を出し抜く茶店の…
最近、デイブ・メイソンのレコード、CD、DVDを聴きなおしている。 曲づくりのうまさとカバー曲の良さ、豊かで包み込むような声のボーカル、空を舞うような独特のギター、12弦のアコースティックギターの音もきらめくよう…何もかもが良い。 レコード盤…
堪能しました。以前。「噂の真相」を購読していた時、楽しみだったのは小田嶋隆さんとナンシー関のコラム。 ナンシー関作の雑貨やお遊びグッズ、単行本では収録していない作品の数々、分厚さとたっぷりのおまけ、そして編集の良さ、ありがたやです。 どれも…