『柳家小三治・落語「死神」より』シリーズの1冊。
子ども向けに文を省いている部分を木版画の世界が補っている。まさに絵本ならではのできばえ。
小三治師匠が思い描く江戸の庶民や商家の暮らし、街の細かいところを木版画が収まりの良い色づかいで表現しているのではないかと思う。
話の筋も淡々としていながら声に出して読むと、主人王と死神のやり取りがテンポ良く進んでいく。銭を蓄え、明日ではなく、未来の暮らしを考える習慣がなあった当時の庶民の考え方があっての話なのかとも…。最後のオチへもっていくくだりの文の少なさと絵の雄弁さがうまいなと思う。