読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

川端誠「落語絵本 いちがんこく」(クレヨンハウス 2004)

落語の話をそのまま子どもが読む絵本の世界に持ち込むと差し障りが生じてしまう…〈見世物〉を現代風にするために〈特殊能力を持った人〉がその能力を見せる仕掛けとしてテレビ番組を考えたところが作者のうまさ。

江戸時代にテレビ?ですが、絵本の世界ではこれができてしまう…テレビ番組の〈珍しい、すごい人〉を探すお話にして「いちがんこく」イコール「一つ目の国」に迷い込む男の物語に仕上げ、〈これが当たり前〉という価値の逆転をテレビのオチにしてしまう、子どもにも受けることでしょう。

前半の庶民がテレビ番組を楽しむ姿、特殊能力を持った人を見たいという飽くなき欲求が人々の会話から覗き出てきます。興味津々といった人々の表情たっぷりの表紙からも覗えます。

後半のでんぐり返しのような展開と併せてトントンと進む展開と絵の移り変わりが楽しいお話。裏表紙にオチのオマケが付いています。

「落語絵本 いちがんこく」