川端誠「落語絵本 みょうがやど」(クレヨンハウス 2012)
落語が好きで、数多くの落語を聴いてきた作者ならこそのオリジナルに近い作品。
後書きのような解説の中で、この話は中学生の時にテレビで金原亭馬生の演で見た限り、その後一度も見聞きしたことがないと書いています。
ただ、この話のオチがおもしろくて記憶に残り、何とか絵本にしたいと思ったけれど、「ミョウガを食べ過ぎると物忘れをする」という〈いわれ〉をある落語のCDを聴いたことで絵本にできると確信したそうな。
旅人が〈みょうが料理〉が名物の〈旅館・みょうが屋〉に泊まるとどうなるのか…最初から最後まで〈ミョウガづくし〉のオチは、〈ミョウガのいわれ〉に結びついてお見事という次第。登場人物が3人という少なさで、旅館の主人・女将、そして旅人3人の表情や〈ミョウガづくし〉のてんこ盛りが楽しい仕掛けになっています。