読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

べてるしあわせ研究所・向谷地生良「レッツ!当事者研究1」(コンボ 2009)

知恵のかたまりが詰まったテキストのよう。

当事者研究の実際〉の豊かさはもちろんですが、当事者研究の基本の羅列はとてもしっくりきます。

文中にある「起きている苦労のメカニズムの解明や見極めの方法として生まれたのが〈当事者研究〉」はなるほどで、「研究を行っていくうえでは、〈人〉ではなく起きている〈問題〉に焦点を当て…人と問題の切り離し」をするという発想は、すごい気づきの考え方。

第2章の「当事者研究が大事にする理念」では、〈自己病名を決めよう〉、〈苦労の棚上げをする〉、〈見つめるから眺めるへ〉、〈人と問題を分けて考える〉などは、問題解消の手法にもなりそう。

自分を紹介するためにユーモアを交えた〈名前〉、目の前の問題や課題に対して立ち位置を変えることで負担が軽くなる〈棚上げ〉、問題や課題を仲間同士でテーブルに出し合い、見渡し・並び替え・議論する〈眺め〉、人が問題ではなく、問題が問題として問題を外に出す〈切り離し〉という風に…。

「FAX通信 ぱぴぷぺぽ」でおなじみ、鈴木ゆうこさんの楽しく明るいイラストは相変わらず無敵、〈苦労〉のパターンの繰り返しを判りやすく説明しているのも驚き。

そして、当事者研究を行っている皆さんの言葉の豊かさにも驚くばかり、〈研究〉という言葉に宿る言葉を出す力があるのかも…。

「レッツ!当事者研究1」