読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

宮部みゆき「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」(KADOKAWA 2022)

1話目の「賽子と虻」では、どんな小さな生き物にも神様がいて、その神様たちが丁半博打ですべてを賭けてしまう博打にひそむ一瞬のきらめきとおろかさに、悲喜劇両方のおかしみがにじみ出ている。村人が受け入れている土地の神様〈ろくめん様〉が村にもたら…

小田嶋隆・岡康道・清野由美「人生の諸問題五十路越え」(日経BP 2019)

小田嶋隆さんと岡康道さんの青春談義、それに清野由美さんが茶々を入れたり話の軌道を直したり…12回の対談それぞれにおかしみや同感を覚える。 個人的には、第1回の「令和に置き去り? 平成を生きた昭和の僕ら」が、今の自分にはしっくりときた。 まずは…

キング・カーティス CD「ライブ・アット・フィルモア・ウェスト」「アレサ ライブ・アット・フィルモア・ウエスト」

デュアン・オールマン絡みで知ったキング・カーティスのCDで持っているのはわずか2枚。ともに1971年2月録音の「ライブ・アット・フィルモア・ウェスト」とアレサ・フランクリンの「アレサ ライブ・アット・フィルモア・ウェスト」。アレサ・フランク…

デラニー&ボニー CD「ザ・クラシック・セッション1971」

最近見つけて入手したCDで、発売は2022年。 録音は1971年7月22日。FM放送用の音源で音質に難があるが、ライブの臨場感と熱量の大きさに満足の1枚。 2部構成の前半は、デラニー&ボニーのデュエットにデュアン・オールマンが加わるアコース…

NHK「新日本風土記 沖縄の家」

先日も途中まで観た番組。再度放映していたので、つまみ食いのように他の番組へも行ったり来たりしながら観ました。 最初と最後に「赤瓦の島」と呼ばれる渡名喜島の家を取り上げていますが、その切り口にうまさを感じます。 戦時中、米軍の上陸がなかったた…

秋らしい雲と夕景

いかにもオホーツクらしい心地良い一日が終わりかけのひととき。 日没が早くなり、もう1時間もすれば陽が落ちてしまいそう。 夕景

ドリー・パートン エミルー・ハリス リンダ・ロンシュタット「トリオ」

3人の歌姫が奏でる歌声はぜいたくそのもの。「トリオ」は2枚あり、最初の「トリオ」は1987年発売。完成度が高く、取り上げている曲そのものがとてもすばらしい。3人ともアメリカを代表する歌い手ではあるけれど、カントリー・ミュージックの大御所:…

ボブズ・フィッシュマーケット「BOB'S FISH MARKET」(1979)

買って良かったと当時も今も思っているレコード。 久保田麻琴と夕焼け楽団との関わりで知り、夕焼け楽団のアルバム「ラッキー・オールド・サン」の「また吠えはじめたよ」が収録されているとの情報も買う動機につながったと記憶している。ただ当時は知らなか…

栗の木

知人の農家の庭にある栗の木。知人が生まれた頃に植えた道産の種類で、もう80年近い樹齢の大木。この種類は植えてから40年くらい竜と幹にひびが入るとのことですが、日当たりが良い場所にあるので元気そのもの。 今年は写真のように豊作。ホントにお見事…

小田嶋隆「イン・ヒズ・オウン・サイト」(朝日新聞社 2005)

氏のホームページ上で公開していた日記から1998年8月から2005年7月までの7年間分を抜粋・編集した本。 サブタイトルは「ネット巌窟王の電脳日記ワールド」。〈巌窟王〉からイメージする偏屈王らしい世界。 ウィンドウズ95から98へ、そしてX…

岡康道×小田嶋隆「人生2割がちょうどいい」(講談社 2009)

2人が50歳の頃で13年前の対談集。2人とも向こうの世界にいってしまったので不思議な気分で読んだ。 1970年代前半、有名な進学校:小石川高校で同級生だった2人が高校時代から2000年代にいたるまでの間に体験・考えたさまざまなテーマをリラッ…

デラニー&ボニー 「COME ON IN MY KITCEN」

比類なきソウルフルなデュエット/デラニー&ボニーを知ったのは、多分、デュアン・オールマンの「メモリアル・アルバム」(1972)収録曲の「LIVING ON THE OPEN ROAD」を聴いてのこと。ボニー・ブラムレットのパワフルでソウルフルなボーカルと切れ味の…

菊地慶一「悲しみの夏 北海道空襲を忘れない」(中西出版 2022)

菊池慶一氏は、空襲の記録「紅の海」「ハマナスのかげで」「語りつぐ北海道空襲」「あの子たちのいた夏」など、網走空襲をはじめ、昭和20年7月14.15日の北海道空襲の記録を長期間にわたる調査、聞き取りなどの調査を行い本にまとめてきました。 90…

マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー「刑事マルティン・ベック 消えた消防車」(角川文庫 2018)

シリーズ5作目。クセがあってアクの強い捜査官たちの会話や家族・家庭のありようが物語の中に自然に取り込まれているのが大きな魅力になっている。作品が発表された1968年(昭和43年)頃のスウェーデンの世相が色濃く反映されていると推測するが、今…

ボブ・グリーン「十七歳 1964春」「十七歳 1964秋」(文藝春秋 1988)

井上一馬/著「十七歳の日記 1973」と同じ17歳当時の日記をベースにしながら、その9年前とはいえ、日本とアメリカの普通の暮らしの中の豊かさの違いや高校生の日常の違いが2作品を通して浮き上がってきた。 この2冊セットは、ボブ・グリーンがジャ…

スーシー:文・絵 高橋久美子:訳「にんぎょのルーシー」(トゥーヴァージンズ 2020)

同じ作者・訳者による「パパといっしょ」に続く絵本。 女の子は人魚が好きというちょっと変わった子、当然のことながらクラスの子どもたちは人魚なんていない…そういって女の子笑います。 でも、女の子はひとり海をのぞいては人魚を思い浮かべ…女の子は人魚…

高橋久美子:作 高山裕子:絵「あしたが きらいな うさぎ」(マイクロマガジン社 2020)

作者2人がきっちり打ち合わせをして作った絵本。ひつじのように毛がもじゃもじゃのウサギ:ウールは、お父さん・お母さんがそのことを誉めてくれますが、友だちにからかわれ、イヤでしかたありません。明日が来なければいいのに…。 子どもたちには理由はど…

1990年代以降のスティーヴ・フォーバート Steve Forbert

90年代の手持ちCDは「THE AMERICAN IN ME」(1991)「EVERGREEN BOY」(1999)の2枚。どちらも電子音などなく、ひたすらシンプルな音作り。固定のバックバンドではないけれど、スティーヴ・フォーバートらしい音で、ロックンロールやしみじみとした曲を演奏…

スーシー:文 高橋久美子:訳「パパといっしょ」(トゥーヴァージンズ 2019)

作者・訳者の意図にはないと思うけれど、幼い女の子がいるお父さんにはウレシイ絵本だと思います。お父さん大好き!という女の子の気持ちがすべてのページに表れている絵本はそんなに多くはありませんから。 また、最初絵を見たときに、お父さんをとても大き…

内田麟太郎「絵本があってよかったな」(架空社 2006)

ナンセンスとシリアスな作品どちらも出し続ける著者の内面が少し分かったような気にさせてくれるエッセイ集。 「ともだちや誕生秘話」という文があり、絵が降矢ななさんにに決まった経緯が綴られていますが、「ともだちや」の人気を支えている魅力の半分は降…

井上一馬「モーニング・レイン」(新潮社 1992)

副題は、「十七歳の日記 1973」。著者は、〈あとがき〉で、「…きわめて不完全とはいえ、当時の日記がそのままの形で残っていたぶん-あとから思い出して書かれたものではないぶん-もっとも真実に近い(日記形式の)青春小説だといえるのではないかと思…

グラム・パーソンズ「GP Grievous Angel」(1973 1974) 「SLEEPLESS NIGHTS」

どちらもCD。1枚は、グラム・パーソンズがソロになってからのファーストとセカンドアルバムをCD1枚に収めたもので、2枚目はフライイング・ブリトー・ブラザーズ時代とソロの未発表曲のアンソロジー。 エミルー・ハリスとのコンビネーションは、ファー…

高橋久美子:訳「おかあさんはね」(マイクロマガジン社 2017)

作者は、エイミー・クラウス・ローゼンタール:文、トム・リヒテンヘルド:絵。 タイトルの原題は、「I Wishi You More」。 高橋久美子さんが初めて訳した絵本。「一生のお願い」で書いているように、〈お母さん〉の視点で〈我が子が…でありますように〉とい…

高橋久美子:訳「ディア・ガール」(主婦の友社 2019)

絵本の作者は、エイミー・クラウス・ローゼンタール&パリス・ローゼンタール:文 ホリー・ハタム:絵。 高橋久美子さんがどんな訳をつけるのか楽しみで読みました。 絵は可愛らしい。どちらかというと文をイメージで説明する役割かな…と。 見開きのページに…

マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー「笑う警官」(角川文庫 2013)

「マルティン・ベック」シリーズ4作目で、最初の発売は1972年。 シリーズ読み直しで4冊目。順序よく読んでいないが、マルティン・ベックを中心にいろいろな分野の能力に長けた捜査官たちのチームプレイによる緻密な犯人追跡が魅力。 今作では2階建て…