読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

川端誠「らくごえほん てんしき」(KADOKAWA 2019)

クレヨンハウスの「落語絵本シリーズ」を受け、再び始めた「らくごえほんシリーズ」。

この「てんしき」は、一般的なオチとは違う作者が考えた〈子どもにもわかる〉オチに変えています。

〈知ったかぶり〉の和尚さんや花屋や石屋さんたちおとなをからかう小僧・珍念さんのかしこさが魅力。また、江戸ことばをうまく利用してオチを変えた作者の腕前も冴えています。

著者の「絵本作家の百聞百見」(子どもの未来社)には、クレヨンハウスで「落語絵本」シリーズを始めるエピソードを綴っていますが、「落語好き」という文では「今、落語のCDを650枚ほど持っている」と書いています。それだけの聴きまくった財産があってのオチなのだと判ります。

腕前といえば、江戸時代の花屋・石屋・医者などの仕事やお店のようすなど細部にわたる絵の本物らしさが話の世界を豊かにしています。

「らくごえほん てんしき」