読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小田嶋隆「日本語を取り戻す。」(亜紀書房 2020)

2008年から2020年3月までの色々な媒体に発表した時事コラムをまとめたもの。 〈あとがきにかえて〉の中で、「…私自身は、この10年間を、自分の中の日本語の防衛に専念していた期間だったというふうに自覚している。それほど、新聞に載る日本語が…

知名定男「うたまーい」もう少し

同書最後の方に、第2期琉球フェスティバルでの沖縄らしいできごとが書いています。 大阪ドーム公演の前夜祭として、ある料理屋で出演者全員、関係者、みんなでミーティングを兼ねた食事会の最中に、ある女性に神様がとりつき(神ダーリー)。髪を振り乱して…

知名定男「うたまーい」(岩波書店 2006)

サブタイトルが「昭和沖縄歌謡を語る」。 著者がデビューした時からの師匠・登川誠仁氏との関係を語る箇所があちこちにあるが、お二人だけの特別さが際立っています。 登川誠仁氏を中央に引き出したプロデューサー役を果たした1998年頃のことや登川誠仁…

いとうみく/作 いつか/絵「大渋滞」(PHP 2019)

両親が離婚する…子どもにとっては大変なこと。 妻が夫のいい加減さにあきれ果て、離婚を宣言。そんな状況下で、家族4人が自家用車で両親のふるさと・名古屋へ。便利なはずの高速道路を選んだはずがとんでもない渋滞に巻き込まれ…家族の危機と大渋滞の中で起…

いとうみく/作 ころりよ/絵「あっちもこっちも この世はもれなく」(PHP 2022)

物語の最後にある「不公平は、平等だ」がテーマ。 背が低い・高い、資料がいい・悪い…自分の努力ではいかんともしがたいことがいっぱいある、それって「不公平」。でも、人からうらやましいと思われていることも本人にとってはちっともウレシイことではない…

岡本太郎/撮影 岡本敏子/編「岡本太郎の沖縄」(NHK出版 2000)

「おいしい沖縄」所収の岡本太郎「沖縄の肌ざわり(抄)」の元になっている写真集。写真は、1959年11月から12月にかけての10日間に沖縄の各地で撮影。 当時の沖縄は米軍占領下。戦後まだ14年目の沖縄各地(糸満・金武・那覇・読谷・コザ、石垣島…

笹山敬輔「ドリフターズとその時代」(文春新書 2022)

ドリフターズを舞台演劇として捉えている視点が新鮮。 テレビ番組ではあったけれど、劇場などのステージに舞台を組み、会場の観客第一の手法は、今から思うとすごい戦略だと思う。 もう一つ、荒井注が脱退するまでのドリフターズは、全員がミュージシャンと…

浅野竜・作 中村隆・絵「シャンシャン、夏だより」(講談社 2022)

「ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品」。選者の斉藤洋・富安陽子の両氏がそろって物語最初のエピソードと強烈な個性を発揮しているヒロイン・川村ちとせのことを選んだポイントに挙げている。 物語の中心にいる3人の子どもたちを含む家族の物語とも読める作…

エド「街の灯」(2012)

買って良かったと思っているレコードの1枚が「THE VOCALISTS」(1981 ビクター)。エド、佐々木忠平、入道、橋本俊一の4人のボーカリストが2曲ずつ歌っている企画ものアルバム。 「めんたんぴん」の佐々木忠平目当てだったのか「夕焼け楽団」の井上憲…

二宮由紀子/作 大野八生/絵「きりんのまいにち」(光村図書 2022)

キリンとキリンのともだちとの小さなささやかで、ほんわりと気持ちの良い短い短いお話集。 とにかく短い。最初のお話は「トースター」。カタツムリからトースターをもらったキリンが、人間に使い方を教わり、食パンを買い、パンをトースターで焼き、とてもお…

「おいしい沖縄」(河出書房新社 2022)

沖縄の食文化に関する24人のエッセイや文を集めた「おいしい文藝」シリーズの最新作。 もっとも古い文は、岡本太郎の「沖縄の肌ざわり(抄)」(1960年)。東京で初めて見た琉球舞踊のすばらしさに惹かれてアメリア統治下の沖縄へやってきた岡本太郎が…

ひこ・田中/作 ヨシタケ・シンスケ/絵「レッツもよみます」(講談社 2022)

シリーズ4作目。5歳になったレッツは、毎回、できることが増えたり、どうしてなんだろう?を自分で考えていますが、今回は、ひらがなが読めるようになったレッツが、お父さん・お母さんに絵本を読んでもらっていることに何となく違和感を感じます。 その違…

カレン・ケイン「チャーリーとフロッグ 手話の町の図書館となぞのメッセージ」(岩崎書店 2021)

物語の中に溶け込むまでに時間がかかった。 物語の舞台は、キャッスル・オン・ザ・ハドソンという架空の町で、手話を使う・使える人が多く、それが当たり前の町。 〈訳者あとがき〉から引用すると「家族の愛情を感じられず、さびしい思いをしている少年チャ…

岡田淳「カメレオンのレオン ないしょの五日間」(偕成社 2022)

1作目の「カメレオンのレオン」(2011)、2作目の「小学校の秘密の通路」(2013)に続くシリーズ3作目。2作目からずいぶん間が空きました。 画用紙の表が現実の世界とすると裏にはもう一つの世界があり、裏の世界にあるドラゴン像の台座と表の世…

大きな根っこと開拓

散歩のコースのひとつに、直径70~80センチくらいの伐根した根っこが置いてある場所がある。 これを見て「土佐郷土史」を思い出す。 明治28年に四国の現佐川町から集団で入植した土佐団体は、各戸に5町歩の未開地が割り当てられ、大木を切り倒し、根…

最初のマンホールふた

常呂町土佐の下水道集街処理場(平成12年12月完成)と第1幹線排水機場(平成15年完成)のすぐ近くにある第1幹線3号橋(平成6年完成)のたもと付近に下水のマンホールふたがある。多分、これが常呂町敷設の最初のマンホールふた。 円形で中央に帯状…

BAKER SHOP BOOGIE「1972 BROTHER2」

ベーカーショップ・ブギのレコードを聴き、そういえばと思い出したのが2005年の第31回ブルース収穫祭のDVD。8曲の内、1枚目と2枚目から「WE ARE BAKERSHOP BOOGIE」と「恋のホームタウン」を披露、勢いがあってゴキゲン。 それがきっかけになり…

元村有希子「科学のミカタ」(毎日新聞出版 2018)

読んでいてとにかくおもしろい、楽しい。最後の章は家族や自身の闘病を書いているので全編にわたってではないけれど。 5つの章立てに清少納言の「枕草子」からタイトルを付け、著者の文を借りるなら「科学記者として20年近く、科学技術や環境問題をウォッ…

濱野京子「谷中の街の洋食屋 紅らんたん」(ポプラ文庫ピュアフル 2019)

濱野京子さんつながりで読んだ1冊。 かつてあった地域雑誌「谷中・根津・千駄木」に敬意を表し、作者が好んで歩く谷中が舞台。 主人公は大学を卒業したけれど、就職もアルバイトも面接で落ちまくった奈留美。どうも同世代の中でちょっと浮いている、友人を…

濱野京子「マスクと黒板」(講談社 2022)

物語は、2020年の6月から始まります。 当時の首相が唐突に3月2日から全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請した現実とリンクさせ、物語では5月末まで休校、6月から各学年半分ずつの分散登校を開始した植野中学校が舞台。そして11月…

元村有希子「カガク力を強くする!」(岩波ジュニア新書 2019)

元村有希子「科学のトリセツ」を読み、そのおもしろさに感化され、著者の書いたものを遡って読むことに…。ますは手始めに「カガク力を強くする!」。 岩波ジュニア新書なので、中学生くらいから手に取るのだろうか。でも、これはおとなが読んだ方が〈カガク…

富田牧場の痕跡

散歩の途中、堤防の上からかつてあった富田牧場の柵を見つけた。位置は、終末処理場背後の堤防の内側・河川敷。対岸の東浜には「さけ・ます増殖事業協会」の建物が見える。 昭和20年代に小学生だった人が、さけ・ますふ化場(現在の増殖事業協会付近)側の…