読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

三輪裕子・作 森雅之・絵「星空の約束」(あかね書房 2022)

三輪裕子さんは、旅や自然の中で育まれる子どもの成長を描いている印象が強い作家です。

洋平と雄斗は大の仲よし。しかし、小学校5年生の時、雄斗は家族ぐるみで三宅島へ引っ越します。雄斗から洋平には島へ遊びに来るよう誘われますが、いかんせん新型コロナが蔓延している状況ではムリ。

でもようやく洋平一人で島を訪れるチャンスに恵まれ…この物語は、洋平と雄斗が三宅島の自然を満喫し、雄斗の家族の突発的な事情にも関わらず、2人が力を合わせて雄斗の家族が育てているニワトリの餌やりや卵集め、夏野菜の収穫、そして食事作りなど普段の暮らしでは体験できない充実した島での1週間を描いています。

コロナ禍でいっぱい制約を受けた子どもたちには、この物語が2人と一緒に体を使う気持ちになれるのではないか…と。

三宅島でたくましくなった雄斗の姿や自分でできる家事を手伝い、初めての農作業体験で自分の成長を感じる洋平の姿は、三宅島の自然とともに気持ちよく読み手の心に入ってきます。

人と行き交うことが少ない島で、マスクなしでいっぱい遊び、仕事の手伝い。家事をこなしていく2人の表情がとても楽しそう。

洋平と雄斗の家族の物語も2人の成長に書くことのできないパーツになっています。

さし絵が2人の結びつきの強さや三宅島での体験のすばらしさを生き生きと描いています。

「星空の約束」