読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

「やまと尼寺精進日記3 ひとり生きる豊穣」(NHK出版 2022)

4月以降、日中テレビを観る時間ができたおかげでタイトルの番組を知り、再放送を楽しんでいる。時系列に観ていないので、ご住職、滋瞳さん、まっちゃん3人の番組を通しての歩みは判らねど山寺の暮らしを楽しむ達人ぶりに頬が緩む思い。

この3作目では、滋瞳さんとまっちゃんが山を下りた以降のご住職の日々やお寺の行事、ご住職を支える里の人たちとの結びつきが窺え、テレビでの放送が楽しみになる。

信仰がベースにあり、自然の恵みや暮らしを楽しむことへの人一倍強い思い、周りの人を誘い込む笑顔や自然な姿…山の上のお寺に通い、喜びを持ちながらお寺・ご住職をお手伝いする里の人たちの幸せな顔がこの本の魅力。

ご住職が生み出す料理のアイデア、特に季節感と彩りは天才級…料理が判らない私にはそう思える。

追記:

 1月4日、この本の下敷きとなった番組の再放送を観る。

 タイトルの「精進日記」は、精進料理が日常の食事であり、その食事の元はお寺のまわりの自然の恵みであり、その恵みを食材として活かす住職の知識・技術・好奇心が生み出すことに気づかされた。ハレの日のご馳走ではなく、日々の食事…精進料理の意味が伝わってくる。

 また、里の人たちが住職のために持ち込む、作る野菜や山の恵みも食事を共にすることで、食材がおいしい料理に生まれ変わる瞬間を味わうことにつながり、お寺が人を繋いでいく場になっていることにも改めて感じる…次第。

「やまと尼寺精進日記3」