読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

川端誠「落語絵本 たがや」(クレヨンハウス 2006)

落語「たがや」のタイトルだけを使い、まるっきりオリジナルのお話に仕立てた作品。

江戸の両国川開きの花火大会のかけ声「たまやーっ」「かぎやーっ」を紹介しながら、扉のページには「たが屋」という職人の仕事を絵だけで結びつけ、たが屋の夫婦と長屋の皆々との花火見物物語へと展開させてしまい、オチを含めた庶民の喝采話を子どもの誕生というハートウォーム話への転換がおもしろい。裏表紙の絵がその象徴です。

表紙を飾る長屋の面々、たが屋という職人の仕事、両国橋のにぎわい、子どもの誕生を橋の上下で助け合う場面、お祝いを兼ねてのオチ…どの絵も文と一緒に味わえ、落語を絵と文両方で味わえる話になっています。

作者の著書「絵本作家の百聞百見」には、「たが屋」を取材したときのエピソードがありますが、1冊の作品を生み出すための時間・労力が感じられるます。

「落語絵本 たがや」