読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

たるいしまこ・作「ガオガオきょうりゅうのよる」(あかね書房 2022)

「しばいぬチャイロ」シリーズの2作目。茶色の柴犬なので、付いた名前が「チャイロ」。チャイロは飼い主のたっくんのすることをマネしたくてたまりません。 今回は、雨の日の学校帰りにたっくんが傘をグルグル回して遊び、服をびしょびしょに濡らしてきたの…

ゲーリー・ロッシントンの訃報

20日付、北海道新聞のコラム「卓上四季」のテーマにつなげる枕に、ニール・ヤングの「サザーンマン」へのアンサーソングとしてレーナードスキナードの「スウィート・ホーム・アラバマ」を取り上げ、この曲の誕生に関わったギタリスト:ゲーリー・ロッシン…

富安陽子・作 山村浩二・絵「ヌラリヒョン・パパにまかせなさい ねらわれた宝もの」(理論社 2023)

「ヌラリヒョン・パパにまかせなさい」シリーズ3作目で新作。 人間と〈ようかい〉がなかよく暮らすドロロン村の愉快な話のシリーズですが、毎回、新しい神さまのような存在やふしぎな住人が登場し、村の賑わいを高めています。 今回はドロロン村で生まれ育…

なかがわちひろ・作「おまじないつかい」(理論社 2007)

なかがわちひろさんの作品をまとめて読んでいます。 どのお話も次へ次へとページをめくりたくなるような子どもたちのおしゃべりと展開のおもしろさが抜群。 どしゃぶりの雨が晴れた次の日、遠足のバスの中で子どもたちが〈てるてるぼうず〉を作ってお祈りし…

サラ・オレアリー:作 チィン・レン:絵「わたしのかぞく みんなのかぞく」(あかね書房 2022)

同じ作者「じぶんのきもち みんなのきもち」()」の姉妹編。 この絵本を読むと、〈伝統的な〉という言葉は〈家族〉を言い表す言葉には ならないと気づかせてくれます。 養子を迎える家族、祖父母がたくさんいる子ども、①週間ずつ父親、母親と暮らす子ども……

デボラ・ホプキンス:文 ハドリー・フーパー:絵「ものがたりがうまれるとき」(評論社 2023)

子どもに〈書いてみようかな〉と刺激を与える絵本。 他の人が書いた物語ではなく、自分自身の物語を書いてみたらどう?と うまく誘いかけています。冬の静かな日に、机の上の白い紙に向かい、なかなか お話が思い浮かばないけれど、何かをじっと観察するなど…

なかがわちひろ・作「天使のかいかた」(理論社 2002)

20年ほど前の作品。作者の絵はどの作品も古びない魅力があります。柔らかで温かな線で描くいろいろな子どもたちが互い互いの言葉で物語に加わっているのは、いつの世にも通じる力があります。 主人公の女の子・さちの友だち5人はそれぞれペットを飼ってい…

なかがわちひろ・作「おとな体験授業?」(アリス館 2023)

作者は「色」を使うのがとてもうまいなといつも思っています。 特別授業で先生が〈グループごとに自分がどんなおとなになりたいのか話し合い、決まったら紙に書いて沸騰したビーカーのお湯の中に入れて〉と指示します。するともわもわした湯気が広がって…5…

サラ・オレアリー:作 チィン・レン:絵「じぶんのきもち みんなのきもち」(あかね書房 2022)

〈何で私の気持ちがマイナスになるようなことを訊いてくるのだろう?〉という子どもたちの気持ちをいくつも挙げ、子どもたちの気持ちに寄り添っています。「どうして本ばかりなど読んでるの?」「どこの国の人ですか?」「何でいつも同じシャツ?」…訊かれた…

斉藤洋・作 高畠純・絵「ペンギンたんけんたい みなみのしま」(講談社 2022)

1991年から始まった「ペンギン・シリーズ」の最新刊は絵本バージョンで、ペンギンの数は50羽からぐんと少なく10羽。 50羽を数えるのが楽しみの1つですが、ここではペンギンたんけんたいが目指す場所と何をしようとしているかがミソ。 最初から最…

飯野和好・作「ぼくとお山と羊のセーター」(偕成社 2022)

昭和20年代後半から30年代にかけて、山の中の農村家族の暮らしが詰まっている絵本。 傾斜地でお茶を栽培し、養蚕を営み、牛、羊、ウサギ、ニワトリを飼い、家族で働く農家のありようと、子どももできる農作業を手伝うのが当たり前…エネルギーにあふれて…

河田桟・作「ウマと話すための7つのひみつ」(偕成社 2022)

作者は、奥付のページで自己紹介をしています。日本の南端・与那国島で馬と暮らし、馬とコミュニケーションを取って暮らしていることなどなど。 最初に、〈ウマを見ると、なんだあうれしくなって、にこにこわらってしまう〉〈ウマたちのようすを いつまでも…

クリハラタカシ・作「きょうのコロンペク コロンペクの1しゅうかん」(福音館書店 2023)

独特の絵、言葉をおもしろがって楽しむのみ。 ふしぎな形のコロンペクが遊び・散歩に出かけて、あれれとびっくりするような体験をし、家に帰って両親にちょっとした心地を出す…その繰り返しですが、読んでいて「へーっ」と驚く新鮮な発見もあったり、そうく…

如月かずさ「給食アンサンブル2」(光村図書 2022)

前作「給食アンサンブル」同様、学校という狭い世界のまた独特な「給食」を題材に、中学生たちにとって切実なことを6つの短編集で描き、それぞれが連動し合う作品。 前作では、キャラクターの自演、演出などがけっこう大事なことでしたが、今作ではクラブ活…

マイケル・モーパーゴ:作 ベンジー・デイヴィス:絵「パフィン島の灯台守」(評論社 2023)

マイケル・モーパーゴの作品を読むのは初めて。知ってはいたけれど、手に取るのはちょっと面倒…そんな印象の作家でした。 個人的には好みの物語。嵐の夜、乗っていた船が座礁したところを灯台守のベンに助けられた少年・アランが、一夜を過ごした灯台でので…

イブ・タイタス:作 ポール・ガルドン:絵「アナトールとねこ」(好学社 2022)

オリジナルは半世紀以上前の古典的な作品。訳は石津ちひろさん。 チーズ工場の味見係のねずみ・アナトールが天敵のネコからどうやって身を守り、味見係をまっとうするのか…チーズがどれだけ大切な食材になっているのか、さすがはフランスの物語と感じてしま…

なかがわちひろ・作「めいちゃんの500円玉」(アリス館 2015)

表紙の絵はとてもインパクトがあり、どんな話がまっているのだろう?という気持ちになります。 ピアノ教室の帰り道でめいちゃんが拾った500円玉が思わぬ物語になっていきます。 主人公のめいちゃんと500円玉、そしてめいちゃんが関わり合う人たちだけ…

おくやまゆか・作「もじゃもじゃドライブ」(福音館書店 2023)

これまでのマイカーを乗り換えた主人公家族の中古の自動車が走っているうちに勝手に方向を決め、おまけに毛むくじゃらになってしまう…毛むくじゃらには訳があり、家族の愛情があり、それでいて突拍子もない変化が当たり前のように感じてしまう楽しいお話。毛…

なかがわちひろ・作「すてきなひとりぼっち」(のら書店 2021)

主人公のぼくが道で拾ったカメと一緒に体験する人ごみや街中での〈ひとりぼっち〉を、ぼくの視点とぼくに関わってくる人々を描写し、ぼくが感じる〈ひとりぼっちのステキさ〉がさりげなく伝わってきます。 作者はシンプルで柔らかな絵とともに、色の使い方が…

北中正和「ボブ・ディラン」(新潮新書 2023)

DVD「ノー・ディレクション・ホーム」を観ながらセットで読みました。 文章がこなれていて、数多くのデータやエピソードが文に馴染んでいるので、熱心なファンでもない私もなるほどとうなずきながら読みました。 ボブ・ディランが古いブルースやフォーク…

眞島めいり「バスを降りたら」(PHP2023)

お気に入りの作家の3作目。登場人物の書き分けがうまく、それぞれの語りも繊細、人物ばかりではなく周囲の細々とした描き方をおろそかにしていないので、場面が伝わってきます。 1作ごとに文章の表情を変え、新鮮さがあります。 この物語は、中学生の女の…

羽仁進・作 堀内誠一・絵「ぼくにはひみつがあります」(主婦の友社 2023)

1973年刊行の復刻版。 よく復刻したなと思うとともに、羽仁進さんの文と堀内誠一さんの絵に触れるうれしさが優ります。 最初のページでする主人公の紹介がとてもうまい。〈ぼくの得意なことととびっきりの秘密を持っていること〉、次のページからは一気…

佐川光晴「猫にならって」(実業之日本社 2023)

猫のけなげな出産・育児が物語の進行役を務めるミカズに生きる気力を与え、そのことが回り回って幾人もの人生の岐路に猫が現れ、ミカズとその源となる猫が羅針盤のように行き先を助言してくれる…まわりくどくいうとそんな印象の連作物語。 どの物語も最後に…

石川宏千花・作「保健室には魔女が必要」(偕成社 2022)

作者の作品を読むのは、「拝啓パンクスノットデッドさま」に続いて2冊目。 「拝啓パンクスノットデッドさま」は、パンクロックをキーワードに、生きていくためには音楽が絶対に必要…2人の兄弟、兄弟を支えるおとなたちの言葉やスタイルが強烈でした。クラ…

ポール・ハーブリッジ/文 マット・ジェームス/絵「つきよのアイスホッケー」(福音館書店 2023)

カナダの子どもたちにとって冬のスポーツはアイスホッケー。そのことがビシビシ伝わってくる絵本です。 森の中にある大きな池が2月になり、マイナス20度の日が続いて一面氷が張ります。村の子どもたちはその池でアイスホッケーをするのが待ち遠しくてたま…

岸田衿子・作 堀内誠一・絵「いかだは ぴしゃぴしゃ」(福音館書店 1987)

かなり古い絵本だけれども、おもしろさと絵は今もそのまま通用します。 子ぐまがお弁当を持っていかだで川を下り、途中でたくさんの動物を乗せて海辺でお弁当をみんなで食べる…いかだに乗る条件はお弁当を持っていること、ページをめくるたびに動物が増え、…

志津栄子・作 くまおり純・絵「雪の日にライオンを見に行く」(講談社 2023)

「ちゅうでん児童文学賞大賞」受賞作。審査員の斉藤洋。富安陽子両氏が選んだ作品なので、この文学賞受賞作は必ず読んでいる。 日本にやってきた中国残留孤児3世の唯人は、父親が日本に居場所を見つけられないまま中国に帰ってしまい、大阪で母親と2人暮ら…

香桃もこ・作 岡田よしたか・絵「イカにんじゅつ道場 ただいま弟子ぼしゅうちゅう」(福音館書店 2022)

とぼけた味でちょっとシュールで好きな作品。 〈食べ物〉を題材に愉快なお話を創っている岡田よしたかさんの絵が楽しい。 イカの忍者が道場を開き、弟子を募集。忍術を学びにやってくる魚やカニ、くらげに術を教えながらも、おいしそうなのでパクリ…。 とん…

谷川俊太郎・作 堀内誠一・絵「あっはっは」(くもん出版 2009)

少し古い作品。左のページに悲しそうな表情の女の子。右のページには〈あっはっは〉と笑う男の子。ラフな太い線でさっと描いたような絵がとても新鮮・斬新なデザイン。ページをめくっても男の子の〈いひひ〉〈うふん〉と笑い声が変わり、それに反応して女の…

プリシラ&オットー・フリードリック/文 ルイス・スロボドキン/絵「マシュマロおばけ」(瑞雲舎 2022)

半世紀以上前の作品。手抜きのようでどこか味のある、親しみの持てる絵のルイス・スロボドキンの作品。 アイルランドからアメリカに渡ってきたエスターおばさんと3人(?)の子どもおばけが楽しみ、騒ぎを巻きおこす楽しい物語。 タイトルのマシュマロがハ…