なかがわちひろ・作「めいちゃんの500円玉」(アリス館 2015)
表紙の絵はとてもインパクトがあり、どんな話がまっているのだろう?という気持ちになります。
ピアノ教室の帰り道でめいちゃんが拾った500円玉が思わぬ物語になっていきます。
主人公のめいちゃんと500円玉、そしてめいちゃんが関わり合う人たちだけをやわらかい銭で描き、物語が絵とともに展開していくのとても自然です。
また、作者の物語に多用される主旋律の文とは違う飛び入りの文(ここでは500円玉の声)が、互いに会話しているようでおもしろさを増しています。
めいちゃんとめいちゃんが次ぎに体験する場所にだけ温かな色が付き、次は何かなと興味が湧いてくる仕掛けも見事です。
拾った500円玉でめいちゃんはいつもとは違う時間と冒険を体験し、最後には欲しかった小さな夢を叶え、ハッピーエンド。
読み終えると満ち足りた気持ちになれます。