なかがわちひろ・作「天使のかいかた」(理論社 2002)
20年ほど前の作品。作者の絵はどの作品も古びない魅力があります。柔らかで温かな線で描くいろいろな子どもたちが互い互いの言葉で物語に加わっているのは、いつの世にも通じる力があります。
主人公の女の子・さちの友だち5人はそれぞれペットを飼っています。さちにはペットがいず、お母さんに頼んでもいくつもの理由を付けてダメ出し。
そんなさちが野原で天使を拾います。小さな空き箱に入っている天使です。何とも不思議ですが、さちは簡単に天使を飼うことになります。
天使はたいした能力はないみたいですが、さちが語るお話が大好きな食べ物。さちがたくさんお話をすると天使は元気になります。
この〈さちのお話〉が物語後半の大事な役割を果たし、天使が持っている小さな力も分かってきます。
子どもたちの世界の日常や友だちとのやりとり、気持ちのすれ違いなど、子どもながらの気持ちの表し方、修復の仕方などが無理なく描かれています。
それにしてもコロッとした天使のかわいらしいこと。