読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

如月かずさ「給食アンサンブル2」(光村図書 2022)

前作「給食アンサンブル」同様、学校という狭い世界のまた独特な「給食」を題材に、中学生たちにとって切実なことを6つの短編集で描き、それぞれが連動し合う作品。

前作では、キャラクターの自演、演出などがけっこう大事なことでしたが、今作ではクラブ活動を介して、自分の性格に自信がなかったり、友だちやクラブの仲間と気まずくなったりを語りつつ、他の人から見たら違う能力や魅力を見つけたり、力を与えたり…自分自身がよく分からない、そのことをクラスやクラブといったつかず離れずの関係にある同級生同士が連作1つひとつで関わり合いながらストンと落ちるラストを迎えます。すっきりとまではいかないまでも、今までの自分とは違う自分に出会えた喜びが伝わってきます。五十嵐大介氏が描く表紙と各物語の扉絵は前作同様とても印象的。これだけで手に取る価値あり。

「給食アンサンブル2」