シリーズの夏・秋を過ぎて冬を迎える3作目。タイトルの「こえてくる者たち」の意味を考えてしまう作品。 見えないものが見えてしまう涼、聞こえない声が聞こえてしまう翔は、普通に考えれば「普通の人を越えて・超えてしまった人」なのかと思うけれど、一方…
小学校の国語で〈俳句〉の授業があるせいか、〈俳句〉を題材にした児童物語が多くなってきているように感じます。 この物語では、自分に自信のない小3の女の子がひょんなことから出会ったおばあさんから俳句を教わり、自分が見たこと、感じたことを五七五の…
作者最後の作品。今の時代には少ない気持ちよく読める物語。 小学校4年生・悠斗の家に定年で仕事をやめたおじいちゃんが同居するようになり、それまで家にいたお母さんが働きに出るようになり、帰宅後はおじいちゃんとの留守番が日常に…。お母さんは、「…な…
人気シリーズのスピンオフ集。主人公・竜崎の家族それぞれの推理や正義をめぐる物語や異動前の大森署の竜崎ロス、新しい大森署長の特異さなど番外編ならではの楽しみがあります。また、前作のその後に起きるキャリア官僚同士の面倒くささも楽しめ、さすがの…
「路線バスシリーズ」最新作で3作目。シリーズものとは知らずに読んだ1冊。 西村健の作品を読むのは「ゆげ福」以来。博多や久留米のラーメン発祥など、細かさを突き詰める物語と探偵物語が合体していた記憶があります。 このシリーズでは、東京都内の路線…
2巻目の「オソロシ山の」を先に読み、シリーズ始まりの訳が書いてある1巻にたどり着きました。 ドロロン村の登場人物、妖怪たちが勢揃いし、楽しく暮らせるようになり、さあこれからいろいろなできごとが待っている!と期待させるに十分はお話。 シリーズ…
身近にいて大切な命あるものを失ってしまった悲しみや喪失感をどうやって回復させていくのか…そのための一つの方法として、〈愛するものがいつでも側にいる、まわりにいる〉という物語が大切、そのためには物語を作ることが必要、そんな風に読みました。 子…
サブタイトルは、「社会を変えたアメリカ最高裁判事 ルース・ベイダー・ギンズバーグ」。 さくまゆみこさん訳。無条件で手に取りました。 第二次世界大戦後のアメリカ社会で理不尽なきまりや不公平があったことを再確認することができました。中には初めて知…
友だちになること、遠く離れた友だちを思うこと、友だちに会うために旅すること、友だちに話したいいろいろなこと…〈友だち〉をキーワードにいろいろなことを感じることができます。 理不尽なできごとでブランコに巻つきてしまい、とぐろが溶けなくなってし…
言葉遊びやページをたどって遊ぶお話が楽しい作家というイメージを持っています。 子どもに読んであげるのにちょうど良いサイズの小型絵本。ホットプレートに料理の材料が並び一斉に飛び込むと子どもの大好きな食べ物に変身。それぞれの材料の表情が楽しく、…
家の中にあるモノが10種競技大会をしたらどうなる?を、〈こんな風に楽しくなる〉と描いた作品。ナンセンスで愉快な文と絶妙の味わいを加える絵…「おうちりくじょう」シリーズでは、この文と絵の組み合わせが毎回新しいおもしろさを生み出しています。 〈…
「道警・大通警察署」シリーズ最新作。時の変化も盛り込み、チーム全員の個人的な事情も描き、警察小説プラスの要素も含めて読めるシリーズか…と。 佐伯・新宮チーム、津久井・滝本チーム、そして小島の3つのピースがそれぞれの担当する事件・事案から寄り…
二宮由紀子さんは大好きな作家の一人。 「コップのすいえい」のおもしろさは衝撃でした。朝倉世界一・絵と合体して生まれる楽しさは、二宮由紀子さんの言葉・文にマジックをほどこしたような印象がありました。 二宮由紀子さんは絵を担当する作家とタッグを…
大好きな富安陽子さんの作品。「妖怪一家九十九さん」シリーズのヌラリヒョン・パパのお仕事物語。この「ヌラリヒョン・パパにまかせなさい」もシリーズ化しているのは知らず、読むのはこれが初めて。 妖怪と人間が暮らすドロロン村の困りごとを解決するのが…
言葉の響き、弾むようなリズム、声に出しやすい言葉、声に出して読みたい、元気になれる作品。 文を覚えたら次は文と絵を合わせて隅々まで楽しみ、ごっこ遊びまでできそう。 久しぶりのいとういろしさんの作品は、気持ちよくなれ、心のリフレッシュになれま…
唯一無二の映画スター・高倉健の演技を数多くの関係者による証言、その証言を引き出した著者の力量によって、タイトルの〈沈黙の演技〉が何なのかを明らかにしています。何も言うことなしの読んで楽しめる作品。 個人的に面白かったのは、「映画の演技とは反…
なんとも楽しいお話。山のふもとの小さな町の外れにある動物病院のステキなお話です。 昼間は〈まちの先生〉がお医者さんの動物病院。でも患者の動物はめったにきません。 でも夜になると、同居するトラネコの〈とらまる先生〉が山やふもとの動物たちを相手…
著者が好きな題材で、好きなこと、好きなものをふんだんに取り入れ、いたるところに散りばめた物語か…と。 「開店の日はりんごの木の下で」から始まり、後は曜日に絡めた章立てで物語が進んでいきます。この最初の章がうまく頭の中で整理できず、ちょっと手…
鮎川誠氏が亡くなったとのニュース。訃報欄ではどういうわけか〈ギタリスト〉としてばかり紹介されている。〈ロッカー〉だったら一発で表現できるのにと思う。 唯一持っているレコード「Pin-up Baby Blues」をレコーダーで聴きながら散歩。 硬質で太い音のギ…
浦河に四半世紀通い詰めた著者だから書けた1冊。 浦河日赤の精神科を廃し、〈ひがし町診療所〉を始めた院長の川村敏明さんとスタッフ、そして診療所に通いながら浦河の町の中で暮らす人たちの苦労と明るさに満ちた奮闘が、著者の目を通して綴られている。 …
きょうの放映の「駅ピアノ」は、オランダのユトレヒト駅。 ストリート・ミュージシャンが、サム・クックの「A Change Is Gonna Come」を演奏していた。字幕では、もっぱらゴスペルの曲を演奏しているとのこと。 久しぶりにこの曲を聴き、どんな歌い方、スタ…
著者初の小説とのこと。〈あとがき〉で、コロナ禍で自然散策を重ねるうちに「体に沁みこんでいるザワザワを表現するための、新しい扉を開けてみたくなった」と書き始めた動機を綴っています。 子どもの頃に体験して胸の奥深くためている宝物のような思い出を…
「時代小説傑作選」シリーズの1冊。5人の作家による短編5作が収められているアンソロジーで、宮部みゆき「迷い鳩」と田牧大和「色男、来たる」の2作のみ読む。他は肌合いが合わなかった。 宮部みゆき「迷い鳩」は、編者の解説で「霊験お初捕物控シリーズ…
コンビ復活か。そして〈おばけ〉を題材にした新しいシリーズの始まり。 読んで楽しい、おもしろいが一番!斉藤洋さんの本を読むとそう思います。 低学年の小学生にとっては80ページ近くあってけっこうなボリュームだけれど、話の進み方、文のうまさで一気…
本の危機、読書の危機を救うために、4つの迷宮でそれぞれ〈本を助け出す〉課題に取り組む高校生・林太郎の物語。 古本屋・夏木書店を営んでいたじいちゃんが亡くなり、2人で暮らしていた林太郎は1人ぼっちに。そこへ人間の言葉を話すトラネコが現れ、〈林…
サブタイトルは「天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ」。〈化石の呼ぶ声がきこえる人〉と呼ばれるほどに化石を発見したり、クリーニング、レプリカの技術も長けているウェンディの子ども時代からの歩みを綴った知識絵本。 絵がとてもステキです。小学…
タイトルのエツコさんは、小6の子・真名のおばあちゃんで、昔は学校の先生。定年後は交通安全のボランティアを4年くらい前までしていました。 エツコさんは今78歳で認知症を患い、真名の両親と一緒に暮らしています。 物語は6つの短編連作で、5人の子…
特別なことがないと絵日記は書けない…そんなことはありませんと教えてくれる物語。 お休みの日のことを絵日記に書く宿題が出ためいちゃんは、書くことがないのでそのままお昼寝。目が覚めると何ページにもわたり日記が書いてあります。読んでみると、おやつ…
サブタイトルは、「アンヌとバイクの20,000キロ」。今から50年前の1973年、フランスのパリで暮らしていた女性・アンヌは、「世界中を旅したい。未知の場所へ。」、そう思い立ち、125ccのカワサキのオートバイで出発します。 形は絵本ですが…
アーケードのある古びた商店街が物語の舞台。大政奉還によって武士の時代が終わり、殿様が武士に奉還金を配り、そのお金で商店街が生まれたという歴史だけはあるレトロな商店街。 物語を進めるのは、この商店街の近くに引っ越してきたぼく・さとしと家がまん…