読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

マイケル・モーパーゴ:作 ベンジー・デイヴィス:絵「パフィン島の灯台守」(評論社 2023)

マイケル・モーパーゴの作品を読むのは初めて。知ってはいたけれど、手に取るのはちょっと面倒…そんな印象の作家でした。

個人的には好みの物語。嵐の夜、乗っていた船が座礁したところを灯台守のベンに助けられた少年・アランが、一夜を過ごした灯台でのできごととベンからもらった1枚の絵を胸に過酷な少年時代を送りながらもベンとの再会を果たし、自分の生きる場所を見いだす…静かで絵に囲まれた暮らし、愛する人たちと過ごす穏やかな日々、物語とは知りつついいなと思います。

人嫌いで無学、文盲のベンがアランに心を開き、自分自身を生きようとする心情も打たれるものがあります。

物語の背景となっている時代や物語の空気を表現している絵の役割も大きく、大切なキーワード〈船〉やタイトルになっている鳥・パフィンの愛らしい絵には惹かれます。

心の平和が必要な人に。

「パフィン島の灯台守」