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本と音楽の雑記帳

1990年代以降のスティーヴ・フォーバート Steve Forbert

90年代の手持ちCDは「THE AMERICAN IN ME」(1991)「EVERGREEN BOY」(1999)の2枚。どちらも電子音などなく、ひたすらシンプルな音作り。固定のバックバンドではないけれど、スティーヴ・フォーバートらしい音で、ロックンロールやしみじみとした曲を演奏、彼独特のボーカルを支えています。

特に、「EVERGREEN BOY」は傑作のひとつ。表題曲を始め、その後のライブでも定番となっている曲がずらりと並び、シンガーソングライターとしての才能の豊かさが詰まっているアルバム。

2000年以降の手持ちCDは、「LIVE AT THE BOTTOM LINE」(2001) 「AN OLD TIME SONGS OF JIMMIE RODGERS」(2002)  「OVER WITH YOU」(2012)  「EARLY MORNING RAIN」(2020)の4枚。

「LIVE AT THE BOTTOM LINE」はバンドの力量も高く、デビュー当時から2000年までの代表曲をエネルギッシュに演奏、何枚か出しているライブ盤の中でも傑出しています。持っていて良かったと思う1枚。「SONGS OF JIMMIE RODGERS」は、カントリーミュージックの大御所/ジミー・ロジャースのカバーアルバム。フォーク、カントリーを背景に、ライブでも演奏し、敬愛しているミュージシャンをカバーしてみたいと思ったのかも…ジミー・ロジャースの曲をほとんど知らぬ身でも十分楽しめる1枚。

「EARLY MORNING RAIN」は彼が好きなミュージシャン、曲を集めたと思われるカバ-アルバム。タイトル曲はゴードン・ライトフット。他にグレイトフルデッドキンクス、ストン・ジョン、レンード・コーエン、ハーラン・ハワード…など曲は多彩としかいいようがありません。それだけ彼の音楽にはいろいろなミュージシャン、曲、音が影響しあっている、そういうことなのでしょう。

つけ加えるなら、このアルバムは集めた曲を詰め込んだ作品でありながら、1枚を通して聴くと。スティーヴ・フォーバート節ともいうべき彼独特の声と歌い方、サウンドに包まれたトータルアルバムのように思えてくるから不思議です。かれの考えた企画が成功している証です。

珍しいものとして、ビデオテープで海外から購入したスティーヴ・フォーバートのライブ映像があります。タイトルは「LIVE FROM SKIPPER'S SMOKEHOUSE」。フロリダ州のタンパという都市の郡部と思われる地域の屋外に設置した臨時の小屋ステージで、数百人なのかな?の観客を前に、ギターとハーモニカだけで2時間近くのライブを行っているフィルムです。観客はみなスティーヴ・フォーバートを知っているようで、なごやかながら熱のこもった演奏はなかなかのもの。カメラはほとんど固定なので、変な演出がなく、彼はこのようにして請われる場所で全米中を演奏して廻っている…を感じました。

ティーヴ・フォーバートのすばらしいところは、シンガーソングライターとしてきちんと曲を書き、CDとして発表し続けているところ。2000年代に入っても2年ごとくらいの間隔で出し続けています。今年、2022年も新作を発表。

同年代で彼の曲をぽつりぽつりと聴いてきた身として、彼の存在はウレシイ限り。

左「THE AMERICAN IN ME」 右「EVERGREEN BOY」表

左「THE AMERICAN IN ME」 右「EVERGREEN BOY」裏

左上「KIVE AT THE BOTTOM LIN」 右上「ANY OLD TIME」 
左下「OVER WITH YOU」 右下「EARLY MORNING RAIN」