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本と音楽の雑記帳

デラニー&ボニー 「COME ON IN MY KITCEN」

比類なきソウルフルなデュエット/デラニー&ボニーを知ったのは、多分、デュアン・オールマンの「メモリアル・アルバム」(1972)収録曲の「LIVING ON THE OPEN ROAD」を聴いてのこと。ボニー・ブラムレットのパワフルでソウルフルなボーカルと切れ味のあるデュアン・オールマンのスライドギター…これ1曲で彼らは必聴のグループに。

続いて聴いたのは、同じデュアン・オールマンの「アン・アンソロジーVOL2」収録の「COME ON IN MY KITCHEN」。古いロバート・ジョンソンの曲を、デュアン・オールマンのドブロ、メインボーカルをデラニー、被さるようなコーラスがボニーの小さな会場でのライブ。「デラニー&ボニー&フレンズ オン・ツアー」の一環で収録されたもの…か?。レコードの解説書がないので詳細は不明。でも演奏の出来は絶品。

ロバート・ジョンソンの2枚組みCD「THE COMPLETE RECORDINGS」には、2パターンの「COME ON IN MY KITCHEN」が録音されているが、スピードがあり、ギターが印象的なバージョンを基本にしながら、デュアン・オールマンの奔放なスライドギターに応えるかのような2人の声がシャウト!

この「カム・オン・イン・マイ・キッチン」は、彼らの「デラニーよりボニーへ」(1970)、「モーテル・ショット」(1971)にも収められているが、一番は「アンソロジー」盤。「モーテル・ショット」ではレオン・ラッセルのピアノが印象的。

個人的には、デラニー&ボニーからレオン・ラッセルへ、そのレオン・ラッセル率いるバンド「マッドドッグス&イングリッシュマン」によるジョー・コッカーのライブ映像へと世界が広がり、スワンプ・ミュージックの良さに惹かれていった覚えがある。

とりわけ、レオンラッセルのライブ(レコード3枚組み)は、「マッドドッグス&イングリッシュマン」のバンドがそのままで、しかもレオン・ラッセルの意のままにはじける音は刺激的。

ラニー&ボニーの「モーテル・ショット」の最初に全員で歌うゴスペル「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」は、ほとんど「マッドドッグス&イングリッシュマン」と同じ、つまりはレオン・ラッセルの仕掛けそのもの。

ラニー&ボニーの絶頂期はほんの数年間だったけれど、レオン・ラッセルなどゴスペルや南部の音を知ることができたのはその後の音楽体験で重要なできごとだった…と今も思う。

ついでにいうと、デラニー&ボニーの動く姿を見たのは、カナダを列車で横断しながライブを行う「フェスティバル・エキスプレス」の車内で共に旅をするミュージシャンたちとセッションで歌う「GOING DOWN THE ROAD FEELING BAD」のわずか数十秒のみ。ライブ映像を使用するための制約があってのことなのかと推測するけれど、残念至極。

左上「ホーム」 右上「デラニーよりボニーへ」 左中「オン・ツアー」
 右中「トゥギャザー」 下「モーテルショット」 

「ホーム」時のレーベルはスタックスで、ブッカーT&MG’Sがバックを務めている部分が半分くらい…聴いていてゆったりとしたうねりがあるサウンド、ホーンセクションが心地良い。