読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

NHK「新日本風土記 沖縄の家」

先日も途中まで観た番組。再度放映していたので、つまみ食いのように他の番組へも行ったり来たりしながら観ました。

最初と最後に「赤瓦の島」と呼ばれる渡名喜島の家を取り上げていますが、その切り口にうまさを感じます。

戦時中、米軍の上陸がなかったため沖縄伝統の赤瓦の家が守られたことが最初に明かされ、その伝統家屋ととともに集落の道路を舗装せず、週3回行うラジオ体操で集まる子どもたちやおとなが白砂の道路の掃き掃除をしながらその伝統家屋に暮らす高齢者たちとのふれあう日常を紹介します。

番組の最後に、80年前に赤瓦の家を建てた人が考える赤瓦の家を紹介。その家は祖父母の時代に建て、父母の代で40年ほど前に瓦を葺き替えましたが、秋縄の赤瓦ではなく、鹿児島から取り寄せた赤い瓦で葺き替えたとのこと。その理由は、葺き替えたころから沖縄の瓦職人が少なくなり、その後を考えたときに「瓦」よりも「家」がずっと補修せずに残っていくことを選択したから…「赤瓦の家」よりも「家族の家」を大事にするための選択というのも沖縄らしいなと感じます。

もう一つ、与那原町の聖クララ教会で使のている「花ブロック」によるデザインの美しさと風通しなどの機能美を初めて知りました。「花ブロック」は、コンクリートブロックに空洞を作り、さまざまなデザインの空洞を施した沖縄の気候・風土に適した建築素材。強烈な光を遮りながらも明るさとやわらかな風を取り入れるその良さは、沖縄ならではの発明だな…と。

また、この教会の建築に携わり、以後60年にわたり毎日教会へ通い、建物の補修やシスターたちのこまごまとした困りごとに対応している1人の男性を紹介していますが、教会が単なる建築物ではなく、日々、草木の世話をする間隔で毎日そばにいる…補修したときに外したネジやカーテンのフックなどこまごまとした部品をすべて保管し、何かの時には費用をかけずにその部品を使う…ほとんど教会の歩みや暮らしに一体化している、そんな人の存在も自然で。これも沖縄の人なのかもと。