読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

岡田淳「カメレオンのレオン ないしょの五日間」(偕成社 2022)

1作目の「カメレオンのレオン」(2011)、2作目の「小学校の秘密の通路」(2013)に続くシリーズ3作目。2作目からずいぶん間が空きました。

画用紙の表が現実の世界とすると裏にはもう一つの世界があり、裏の世界にあるドラゴン像の台座と表の世界にある桜若葉小学校のクスノキが通路となり、その通路を自由に行き来しながら両方の世界にまたがるできごとを解決する探偵・カメレオンのレオンの物語。

さて、レオンはどんなものにも返信できるカメレオン。

1作目の「カメレオンのレオン」は、レオンの世界から現実の世界に入り込んだ〈百年クラゲ〉がいくつものいたずらを始め、とんでもないことになってしまい、レオンが一人の少女の力を借りて解決するお話。そのとんでもないいたずらの数々と解決法がとにかく楽しい。

2作目は、桜若葉小学校の子どもたちが主役。4つの短編が収められ、捜し物や得意技、心の中で思うことやつい言ってしまう性格…レオンが子どもたちの力を借りたり、解決の役に立ったり…ふしぎなお話をそのまま楽しめる4本立て。個人的には第2話の「天才ツボ押し少年シンノスケ」が好み。シンノスケ君の渋さはなかなかのもの。

さて、3作目で最新作の「ないしょの五日間」は、探偵になりたての頃のレオンが体験する3つのお話と、レオンの相棒・ヒキガエルのヒキザエモンのちょっとした冒険物語の計4話。1.2話ではふしぎなことはある!を登場人物たちも読み手もなっとくしながら読むおもしろさがあり、3話目では子どもの心は成長する…を感じさせてくれるちょっと長めの物語。親子でわかり合えることが難しくなる小学校高学年の子どもたちにはしっくりくる物語か…と。

何かのテーマがあったり、何かを考えることがメインの物語ではなく、お話をそのまま楽しみ、レオンとヒキザエモンのコンビ力を楽しむ作品。

さてさて次回はあるのかどうか。

岡田淳「ないしょの五日間」