読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

エド「街の灯」(2012)

買って良かったと思っているレコードの1枚が「THE VOCALISTS」(1981 ビクター)。エド、佐々木忠平、入道、橋本俊一の4人のボーカリストが2曲ずつ歌っている企画ものアルバム。

「めんたんぴん」の佐々木忠平目当てだったのか「夕焼け楽団」の井上憲一が関わっていたから買ったのか、どこで買ったのかも定かではないけれど、エドの声と歌い方、曲の良さに聴いた瞬間、これはすごい歌い手だなと感じたもの。歌っているのは、自作の「GYPSY BLOOD」とグラハム・パーカーのカバー曲「神様おねがい」。

「THE VOCALISTS」レコード・ジャケット表

「THE VOCALISTS」レコード・ジャケット裏

レコードの針でシャリシャリいうくらい聴いていたが、いつしかレコードプレーヤーがなくなるとお蔵入り。

最近、安いプレーヤーを買い直し、WAVファイルに変換してハードディスクに保管し、MP3プレーヤに入れて散歩のお伴にしている。

当然、エドの曲もずっと入れっぱなしでずいぶん聞き直している。

不思議だったのは、このレコード以降、エドのレコードは見つからず、レコード、CDデビューした痕跡も見つからず、これだけの才能あるボーカリストが埋もれていたことを残念に思っていた。

最近、真剣に探したところ、PヴァインレコードからエドのCD{街の灯」が2012年に発売されたことを知り、ネットで注文。残り1枚の表示だったので安堵。

10曲収録。1曲を除き、1978年のエドズバム、1982年のエド&ジャミングという2つのタイプが違うバントのライブ音源。

個人的にはエドズバムのライブ音源の方が好き。「THE VOCALISTS」と同じ声だということとバンドの音にラフでありながらストレートな勢いがある。「GYPSY BLOOD」は全く違うバンドスタイル、タイトルの「街の灯」も2パターン、どちらのも切なさがある。エドは、心の情景を物語にして歌い、聴く者をわしづかみにする声で魅力する。

ジャミングでは、いろいろなタイプのレゲエサウンドで、バンド全体の音が太く、エドの声、歌い方もバンドにに合わせてがらりと変わっている。彼がその時々に感じたことを野太い声で吠え、全く違うエドが4年間に存在するかのよう。

音源は、正式にレコーディングしたものではなく、バンド仲間がライブを録音したもの、デモテープだったものでカセットテープに収められた音源だということが解説に書いてある。音の歪みや音質の悪さがあるのは仕方ないとしつつ、奇跡的に世に出たことの方を喜ぶべきかと思う。

解説にエドに関わった人たちが文を寄せ、とりわけ中川五郎氏の文に心を動かされる。

それにしても、なぜ、レコーディングするチャンスがエドに与えられなかったのか…疑問符ばかり。

「街の灯」CDジャケット表

「街の灯」CDジャケット裏