読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

知名定男「うたまーい」もう少し

同書最後の方に、第2期琉球フェスティバルでの沖縄らしいできごとが書いています。

大阪ドーム公演の前夜祭として、ある料理屋で出演者全員、関係者、みんなでミーティングを兼ねた食事会の最中に、ある女性に神様がとりつき(神ダーリー)。髪を振り乱して知名定男氏のそばに座り、譜久原朝喜さんが乗り移ってメッセージを伝え…自分たちが一生懸命やってきた島唄、民謡、大阪ドームみたいな大きなところでやれるようにしてくれてありがとうという内容。その場にいた譜久原朝喜さんをよく知っている人はボロボロ泣いていたとも記しています。

譜久原朝喜さんのことは、〈譜久原朝喜さんの帰郷とレコーディング〉の項目でも触れていますが「神様みたいな人」と書いています。

 

宮沢和史「沖縄のことを聞かせてください」(双葉社 2022)の対話1「語られなかった個人史がある」で又吉直樹さんとの対談があり、その中にも上記同様の沖縄らしい不思議なエピソードを又吉直樹さんが語っています。又吉さんが母方のふるさと・加計呂麻島をテレビ番組で訪れた時に、親戚のお年寄りたちが集まり、曾祖父が三線を弾きながら唄っていたカセットテープを聴いた際、又吉さんが〈赤ちゃんみたいな声ですね〉と感想を述べて収録終了。その後の親戚との酒宴の席で、いとこが曾祖父の三線を弾くと彼の赤ちゃんが泣く、止めると泣きやむを繰り返し…これは泣いているのではなく、唄っているのではと言うと、親戚たちもおじいちゃんが帰ってきていると言いながら三線を弾いて、みんなで酒を飲む…突飛なことを受け入れる早さや納得感が本土と沖縄では違うことに触れています。