読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

カレン・ケイン「チャーリーとフロッグ 手話の町の図書館となぞのメッセージ」(岩崎書店 2021)

物語の中に溶け込むまでに時間がかかった。

物語の舞台は、キャッスル・オン・ザ・ハドソンという架空の町で、手話を使う・使える人が多く、それが当たり前の町。

〈訳者あとがき〉から引用すると「家族の愛情を感じられず、さびしい思いをしている少年チャーリー。夏休みをすごすことになった小さな町で、おばあさんから謎のメッセージを受け取ったのをきっかけに、探偵志望で自信家の女の子フロッグと出会い、いっしょに(殺人?!)事件を追い始め…フロッグは耳の聞こえないろう者…ふたりは手がかりを求めて町じゅうをかけまわり…手話と謎、あきらめない気持ちとあったかい心が、いっぱい詰まったお話」。物語の最後にいろいろな謎が解き明かされ、それまでの断片的な〈?〉がすっきり。チャーリーの不安や孤独が自身のがんばりで希望にかわっていくさまも作品の魅力。

手話は言語なのだということが全編に行き渡っています。「日本十進分類法」の最新版(10版)からは、それまでの「教育」のグループから内容によって「言語学」のグループにも分類されるようになったことも〈あとがき〉に書かれている。考えてみれば当たり前なんだけれど、今まで何とも思わず、手話イコール「教育」グループと短絡的に考えていた。

「チャーリーとフロッグ 手話の町の図書館となぞのメッセージ」