エイミー・ノヴェスキー:文 ジュリー・モースタッド:絵 横山和江:訳「世界はこんなに美しい」(工学図書 2022)
サブタイトルは、「アンヌとバイクの20,000キロ」。今から50年前の1973年、フランスのパリで暮らしていた女性・アンヌは、「世界中を旅したい。未知の場所へ。」、そう思い立ち、125ccのカワサキのオートバイで出発します。
形は絵本ですが、50年前と今とのギャップを知らないと十分にこの物語を理解できないかも…。
アメリカやヨーロッパの若者がアジアを今で言うバックパッカーのように旅していたことは当時もありましたが、女性がアメリカ大陸横断(カナダ、アメリカ、アラスカ)、日本、アジア(インド、カンボジア)、中東、フランスという世界一周をオートバイで女性で初めて成し遂げたというのは驚きそのもの。
今は、世界の状況を考えると恐ろしくて逆にできないことかもしれません。
「世界は美しくあってほしい。そして、世界は美しかった。
人間はよいものであってほしい。そして、人間はよき人びとだった。」
というアンヌ自身が書いた本の一文を使っていますが、まさしくこの言葉の通り、今、この作品が掛かれ、出版されたことに大きな価値があります。
アンヌが出逢った人びとや子どもたちの姿、広大な土地と自然、一人で感じたこと、もう見ることができない文化…自由を選び取って世界へ旅だった女性の言葉とそれぞれのページに描かれた世界に溶け込んでいく絵の力を感じる物語。