読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

西村健「バスに集う人々」(実業之日本社 2023)

「路線バスシリーズ」最新作で3作目。シリーズものとは知らずに読んだ1冊。

西村健の作品を読むのは「ゆげ福」以来。博多や久留米のラーメン発祥など、細かさを突き詰める物語と探偵物語が合体していた記憶があります。

このシリーズでは、東京都内の路線バスの細かさ、それゆえの魅力、楽しみ方プラス疑問や謎解き、そして登場人物個人に関わる悲しみと犯罪を巧みに短編連作のような物語集に潜ませています。

定年退職をした元警察官、路線バスを無料で利用できる70歳以上という設定が巧み。

1作目から読んでいくと、楽しみ方が深まるのかな…と感じます。「…東京には色んな顔がある。それを一本の路線バスで、通り抜ける。こうした小さなバス旅の醍醐味のよう」という一文もそうですが、好きな人には堪えられないシリーズ。

「バスに集う人々」