読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

ヘレイン・ベッカー:作 サンドラ・デュメイ:絵 木村由莉:訳・監修 「化石のよぶ声がきこえる」(くもん出版 2022)

サブタイトルは「天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ」。〈化石の呼ぶ声がきこえる人〉と呼ばれるほどに化石を発見したり、クリーニング、レプリカの技術も長けているウェンディの子ども時代からの歩みを綴った知識絵本。

絵がとてもステキです。小学校の頃からみんなが気づかないすてきなものを見つける〈特別な目〉を持っていたことを好奇心のかたまりのような表情、スタイル、細かさを見て分かる絵で表現しています。文よりも伝える力がありそう。

恐竜の化石を発見したときの文、「ウェンディはおどろき、胸があつくなりました。ここが昔は海の下で、たくさんの生き物がくらしていたなんて。ほかにも、こんなすてきな物語を見つけることができるかもしれない!」は、目覚めの瞬間を描いています。

成長していく姿や研究者となって活躍している場面もワクワクするような文と絵に圧倒されます。

おまけとして、訳をした木村由莉さんと佐藤たまきさんという2人の古生物学者の対談「好き!を仕事にするってどういうこと?」が収められていますが、〈好きなものを好きと言えない〉とか〈好きなものがわからない〉という子どもたちにもしっくりくることも語り合い、この対談もひっくるめて〈好きを追い求める〉作品。

子どもたちがたくさんいる場面は、いろいろな子どもたちがいて当たり前をさりげなく描いています。これも絵が語る強さです。

「化石のよぶ声がきこえる」