ジャクソン・ブラウンとグレッグ・オールマンの「ソング・フォー・アダム」
「Song For Adam」は、ジャクソン・ブラウンのファースト・アルバム(1972)に収められている曲。短い間だったけれど親しい友だちのアダムが旅先で亡くなったことを知ったジャクソン・ブラウンがアダムとの思い出や当時の心境を綴った作品。アコースティック・ギターとフィドルだけのとてもシンプルで彼らしいメロディ。公式のライブ・アルバムやDVDなどでは演奏したことのない隠れた名曲。
この「ソング・フォー・アダム」をグレッグ・オールマンは2回取り上げている。最初は、1973年発売の「レイド・バック」の「リマスター&アーリー・ミックスとデモ&アウトテイク版」(2019)。自身のギターだけの歌は、ラフで原曲から外れ、当時のレイドバックな雰囲気そのもの。
2回目は遺作となった「サザーン・ブラッド」(2017)の中の1曲。プロデューサーのドン・ワズの音づくりだと思うが、アルバム全体の音が色鮮やか。「ソング・フォー・アダム」は、グレッグ・オールマンにとっても傑作の1つか…と。光り輝く雨粒のようにいくつもの音が重なり、詩の情景を映し出しているかのよう。メインのグレッグ・オールマンと控えめに添えるジャクソン・ブラウンの歌は、若かった頃を慈しむかのように心に沁みてくる。このアルバムには、ボブ・ディランの「GOING GOING GONE」やリトル・フィートの「WILLIN'」もあり、50年近くもいろいろな音楽が身近にあった時を感じさせてくれる。
2014年のライブCD&DVD「オール・マイ・フレンズ」と2015年のライブCD&DVD「バック・トゥ・メイコン」を残してくれたのは今となってはウレシイ限り。