物語の始まりが昭和天皇が崩御した日。過激派の内ゲバのような鉄パイプによる殺人事件が発端で、警視庁捜査一課と公安一課の刑事が組織の思惑とは別に、個人的なつながりのバランスを取りながら事件の真相に近づいていく。
連絡の手段がポケベルと公衆電話、昭和から平成に移り変わる瞬間を生きる３０代半ばの主人公たちの姿は、この時代を知っている読者にはリアルに感じるものがある。
また、令和の現在、物語を読むと当時の過激派と呼ばれた人たちの３０数年後にも思いを馳せることができる。
そしてタイトルに込められた主人公たちの親世代から受け継ぐ警察官としての矜持のような何かに気持ちが惹かれる。
「鷹の系譜」
