宮部みゆき「きたきた捕物帖」(PHP 2020)
「きたきた捕物帖二 子の宝船」を読むために、シリーズ1作目を読み直して思い出す。
表・裏表紙に主人公2人の少年と主人公を支えるメインのおとなたちが描かれ、読み終えて改めて表紙を見ると、タイトルを含め、なるほど思う。
岡っ引きで文庫屋の千吉親分が急死したところから始まる仕掛けがつくづくうまいなと思うばかり。
物語の重要な面々:欅屋敷の新兵衛、沢井の親分のおかみさんの松葉、差配人の富勘を最初の4つの中編で登場させ、4つの中編の中でそれぞれの得意技や個性を少しずつ明らかにし、「きたきた」のタイトルになる「北一」と「喜多次」がぎこちない出会いから最後にはコンビを組んで捕り物へ…というつながりが見えるところで終える…1作目を読み終えたところで次回作への期待が高まる、そんな作品。
ちっぽけな存在だと思っている北一自身と正体を隠しながらもとてつもない力を発揮する喜多次がどんな成長を見せるのか楽しみいっぱいのシリーズ。