読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

魚住直子「考えたことなかった」(偕成社 2022)

表紙の裏に「ジェンダーバイアスと、どこかでつながりあった社会のしくみに気づいて考えはじめる男の子の物語」と作品を紹介しています。

主人公は中2の颯太。ある日、颯太はネコ(にょい)に声をかけられます。〈自分は未来のお前だ、自分はみじめな人生の最後をむかえようとしている。そうならないよう今のお前に忠告したい〉と話しかけます。

物語は颯太が家族やクラスメイトの〈男だから、女だから〉〈~するのが当たり前〉というちょっとしたことに何となく疑問符を思い浮かべ、〈それって変だ〉と気づき、身近なことからできることを増やしていきます。

最終的には生活していく技術・力、生きる力をどう自分で育てるのかに結びつく…そんな物語。また、うまくできる・なれるかどうかは関係なく、何ごとにも手を抜かない、分かりあうためには自分の考えをきちんと伝える…さりげなくそんなメッセージも感じられる作品。絵を担当する西村ツチカとの共作「いいたいことがあります!」(2018)の姉妹版。

「考えたことなかった」

 

「いいたいことがあります!」