読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

塩野米松「夕陽丘分校の7人」(フレーベル館 1999)

4巻シリーズの1作目。町の中心地から離れた岬にある分校に通う子どもたちと先生たちの物語。

児童は2年生から6年生までの7人で、先生は3人。子どもたちは皆なかよし、それ故、本気で力を競い合うスポーツができないのが先生たちの悩み。子どもたちも野球やサッカーが好きでも7人ではすることがままならず、学校では相撲が体育の授業の定番。

夕陽丘分校の子どもたちは、毎年5月に行われる本校の運動会に招かれ、個人種目に出場するも団体競技は不参加。この運動会の帰りに1人の子どもがサッカー部の練習を見てうらやましそうにしている姿を本間先生が見て…。

物語は分校にサッカー部を作り、夏休み前に本校のサッカー部と5人制の試合をすることをメインに、子どもたちそれぞれの個性や夢、先生たちの思いが入り交じりながら壮絶な試合を繰り広げます。

お互いになかよくする、人の嫌がることはしないという分校のルールが通用しない団体スポーツの厳しさを体感しながら子どもたちの心の変化が伝わってきます。

小規模小学校の良さとそのハンディの部分を両方味わえるシリーズ。2作目は、1作目で夢を語る女の子たちがリードする物語。うまくつながっています。

塩野米松「夕陽丘分校の7人」