佐藤まどか「トーキング・ドラム」(PHP 2022)
サブタイトルに「心ゆさぶる わたしたちのリズム」。小学校の放課後子ども教室で時間を過ごす4人の子どもたちが主人公。
父親との2人暮らし、シングルマザーの家族、両親が共働きで1人ぼっちがイヤ、家に居場所がない…さまざまな家庭・家族があることが前提としている今の物語。
あることがきかけで、沖縄の三板(さんば)や西アフリカのトーキングドラムなどの民俗楽器を手作りすることに…。
ここから物語が一気に盛り上がります。作るだけの目的から互いの感情を伝え合う演奏することにみんあの心が傾き…。
物語が進んでいく中で、メンバー4人が互いの個性や輝きを理解し合い、周りの人たちにもそのことが伝わっていきます。
いろいろな打楽器が音の強弱や音色、リズムの変化で混ざり合い、まとまった曲となる…〈居場所〉を自分たちでつかむ子どもたちの姿に、タイトルと相まって小気味よく読めます。