読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

リチャード・マニュエル CD「ウィスパーリング・パインズ ソロ・ライブ」(2002)

亡くなる5ヶ月くらい前、1985年10月のライブ盤。

リチャード・マニュエルの歌は、ザ・バンド以降の1983年の「ザ・バンド・ウィズ・ザケイト・ブラザーズ・バンド ライブ・イン・トーキョー」でも聴けるが、このライブ盤はほとんどレヴォン・ヘルムとリック・ダンコのバンドで、リチャード・マニュエルの出番は少なく、しかも本人の声は最悪。高音は出ないし、声も荒れ、絞り出すような切々とした情感はない。

「ウィスパーリング・パインズ」は、小さなクラブでのソロ・ライブ。エレピだけでザ・バンド時代の曲を中心に、声は出ないまでも少しふっきれたように明るさも感じる心おだやかなライブ。ボーカルなしでエレピの演奏だけという曲も2曲あり、ザ・バンド時代とは違うキーボード・プレーヤーの一面を垣間見え、ちょっとウレシイ。

途中からギターとリック・ダンコが加わる、心を許しあえるような感じで好感が持てる雰囲気。

完成度には疑問符があるもののたまに聴いてみたくなる1枚。

それにしても、リチャード・マニュエルはザ・バンドとともに生きたミュージシャンだと思う。日本でもライブ盤でも感じることだが、ロビー・ロバートソンがバンドを統率し、緊張感のオーラを発揮することでザ・バンドとしての締まった音になっていたと思う。リチャード・マニュエルはその状態でプレイし、歌うことで最高の表現をすることができたミュージシャンだった…そう思っている。

「Whisperling Pines Live at the Gataway Saugerties.,NY」CDジャケット