読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

塩野米松「自由研究大作戦」(フレーベル館 2002)

夕陽丘分校シリーズ3作目。前作2冊では、児童数7人の小さな分校でもサッカーやミュージカルなどを学校ぐるみ、地域ぐるみでできたことを描いていたが、この作品では子どもたち1人ひとりの個性や興味、考え方、努力を取り上げている。

1.2作を通してそれぞれの子どもが興味や関心を持っていることが少しずつ明かされているが、夏休みという地涌時間を精一杯使った自由研究の数々がすばらしい。

本校の広い体育館で行われた自由研究の発表会に分校の子どもたちの作品も展示するが、子どもたちは本校の見た目が良い作品に圧倒されるが、自分でテーマを考え、どうやって調べたか、どう整理したか、最初の推測があっていたかなどアイデアに優れて分校の子どもたちが正当に評価される場面はいいなと思う。

また、子どもたちを見守り、支える3人の教師と子どもたちの家族の描き方も気持ちよい。

物語の世界と言ってしまえばそれっきりだけれど、学期ごと、夏休みを経て子どもたちが成長する姿を描く物語は読んでいて心地良い。

②作目の「ミュージカル」はどんな風に花開くのか…次回、最終作か?

塩野米松「自由研究大作戦」