小田嶋隆「東京四次元紀行」(イーストプレス 2022)
著者の最初の小説で遺作となってしまった作品。
ある種の枠にはめ、テーマに沿いながら自分の考えや知識・技をつかって読ませる文を書くという制約を外し、言葉や文で言いづらい記憶を〈街や時間〉を小道具にして断片的な物語のパッチワークにしている。
よくわからないままに読み、唐突な始まりや言い切りや曖昧・余韻を残した終わり方を楽しみながら、結局は小田嶋隆という言葉の銘職人の世界を楽しんだ。
何ヶ月か後に再読するともう少し物語群の深みを味わえるのかも…。