読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

塩野米松「ミュージカル部部員募集」(フレーベル館 2001)

夕陽丘分校シリーズ」の2作目。前回のサッカー部でミュージカル俳優を夢見ていた6年生の友紀がミュージカル部の部員募集のポスターを校内に貼りだしたところから物語が始まります。

前作ではサッカーの試合に村中のおとなが応援に駆けつけましたが、今回は子どもたちが考え、創作するミュージカルに村人全員が参加します。子どもたちがおとなたちに協力をお願いする場面は感動もの。

また、森と海の恵みがつながっている自然の大切さをミュージカルのテーマに据え、物語の最後で地区の区長さんが「…ミュージカルは…私たちの海の神様、山の神様に対する奉納…見事な奉納でありました。…われわれ、少しの畑を耕しながら、海に漁師として出る者たちへのいましめをこめたものだと思って、これからの自然を大事に、次の世代に継いでいきたい…子どもたちには感謝とお礼を言いたい…」と語っています。

子どもたちがどんな風にミュージカル部を立ち上げ、歌って踊ってお芝居をする〈ミュージカル・海の歌〉を創り上げていくのか…経過と満足感を味わえる作品。

物語の最後に、次作につながるヒントがさりげなくあり、心憎い演出。楽しみ。

塩野米松「ミュージカル部部員募集」