読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

斉藤洋「生きつづけるキキ」(講談社 2020)

サブタイトルは「ひとつの〈魔女の宅急便〉論。

〈はじめに〉で、発行以来30年以上経っているにもかかわらず、「魔女の宅急便」が書店の棚に残り続けている理由がどこにあるのかを探ることが目的で、斉藤洋の視点で「魔女の宅急便」の意味や価値を探るもの…と書いています。

斉藤洋さんは、物語の章に沿って作品の魅力を綴っていきますが、結局は角野栄子さんという作家の卓越さにたどり着いているように思えます。

魔女の宅急便」は、ファンタジーのくくりには入るけれど、物語を読む子どもたちにとっては、身近な現実に感じられる〈楽しさ、あこがれ、気づき、ハラハラドキドキ、やったー〉など、キキを通してさまざまな気持ちを味わい、1年間両親と離れて過ごす日々で成長・変化したキキに共感できる…そのことをおとなを含めて解き明かしているようにも感じます。

斉藤洋さんと角野栄子さんの対談が収められていますが、作品を解き明かす斉藤洋さんと著者の角野栄子さんとの視点の違いがこれまた楽しい。

斉藤洋「生きつづけるキキ」

 

角野栄子魔女の宅急便