読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

小田嶋隆「小田嶋隆のコラム道」(ミシマ社 2012)

14回にわたる「コラム」をテーマにしたコラム。「コラムとは何か」や「コラムと枠組み」など一見するとコラムの書き方を述べた文と思わせつつ、その実、小田嶋隆というコラムニストがどのように自身のコラムを捉えているかを楽しむ、楽しませてもらう1冊か…と。

コラムを書いてみたいと思う人がどれくらいいるのか分からないけれど、著者のコラムを読んでいる人が自分もコラムを書いてみたいとは思わない…はず。小説やエッセイとも違う「言葉の職人・勝負師」たる著者の文でたっぷり遊べる。

帯に「なんだかわからないけど、めちゃめちゃおもしろい!」という書店員の褒め言葉があるが、まさしくその通り。どこがおもしろいのか説明しろ!と言われても困るが、小田嶋隆ワールドはともかくおもしろい。

著者と内田樹氏との対談が収められているが、内田氏が著者の凄さをいくつかの言葉で触れている。「個人的な記憶」「説明のうまさ」「思考の肺活量が大きい」「「あのくどさは普通の人の5割増し」などは、うーん、うまい!

対談の中で、原稿を手書きだった頃と今のワープロ作業との違いに触れていたけれど、書き始めや推敲、体力、枚数などまったく違う環境になっていることに、そういえばそうだなと気づかされた。あと、第11回の「推敲について」が個人的には一番楽しく読めた。内田樹氏の「塩抜き」という言葉にも納得。

小田嶋隆小田嶋隆のコラム道」