読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

斉藤洋・文 広瀬弦・絵「西遊記15 名の巻」(理論社 2022) 

斉藤洋さんのシリーズもので唯一定期的に出版されている作品かも。

孫悟空にとって大切な存在は玄奘三蔵だけ、師の言動には時として反発は覚えても唯一の存在…この悟空の感覚が西遊記の根っこにあるように思えます。

今回の物語では、悟空が妖怪たちをできるだけ倒さずに問題を解決したいという考え方にシフトし、かつ妖怪相手に饒舌な語りをしているところがこれまでと違うところ。もう一つ、悟空が改めて三蔵を天竺に無事送り届けるという使命を思い知る物語にもなっています。

とにかくおもしろいシリーズ。妙な理屈やテーマを設けず、物語のおもしろさと悟空がつぶやいたり、胸のすくような天界の住人に物言う場面に何かを感じるその〈何か〉が魅力。

西遊記15 名の巻」