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本と音楽の雑記帳

キャロル・キング「アップ・オン・ザ・ルーフ」

キャロル・キングがソロ・パフォーマーとして覚醒する場面を自身の「キャロル・キング自伝」で詳細に綴っています。

1970年の秋、ジェイムス・テイラーのコンサートにピアノ・プレーヤーとして同行し、いくつかの大学で演奏していた時のエピソードです。

ある会場で、ジェイムス・テイラーから彼のお気に入りの曲「アップ・オン・ザ・ルーフ」をキャロルがソロで歌うよう頼まれます。この曲は、キャロルがドリフターズに書いた曲でヒット曲だったこともあり、観客はよく知っている曲でした。

ジェイムス・テイラーが観客に、キャロルがその大学の卒業生であることを紹介し、リハーサルなしのぶっつけ本番でキャロルは自作の曲を歌うことに…。

その時のことを自伝では「…ジェイムスは私をスポットライトの下に出すこと以上に、かけがえのない贈り物をしてくれたのだと理解した。彼が、観客に温かく迎え入れられるようすべて仕込んでくれたのだ。彼の紹介と選曲のおかげで、私は歌う前からすでに観客から愛されていた。…私は自信に溢れたパフォーマーになるための道筋をつけてくれ…人の目を気にせず楽しさと誠実さをもってパフォーマンスをすることを身をもって教えてくれたジェイムスに、いつまでも感謝し続けるだろう」と書いています。

このことがキャロル・キングの音楽人生で大きなことだったことは、「キャロル・キング ウェルカム・トゥ・マイ・リビングルーム」(2007年)とジェイムス・テイラーと共演した「ライブ・アット・トルバドール」(2010)というライブ盤でも取り上げて歌っていることからも分かります。

リビングルーム」「トルバドール」ライブでは、キャロルのキャリアを示す古い曲をメドレーで演奏していますが、会場に来ているファンと共にさまざまなことがあった人生を共に分かち合う雰囲気を感じます。

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           「Wwlcome To My Living Room」

「Live At The Troubadour」