読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

小手毬るい・作 こしだミカ・絵「うちのおかあちゃん」(偕成社 2022)

物語を書いている作者の内容とずいぶん違うなと思い、ツイッターを覗くと作者の母親をモデルにしたとのこと…それで納得。

目の手術の失敗で視力がなくなっていくお母ちゃんの〈以前のこと〉には触れず、子ども(まりえ)目線で感じる今のお母ちゃんのたくましさが生き生きとした絵も相まって…三味線がうまく、声が大きく、耳がよく、頭も良く、どこへでも出かけていくお母ちゃんへの丸ごとの気持ちが表れ、気持ちよく読める。

お母ちゃんが完全に視力を失ってしまう悲しみはさらりと描き、白状を手にしたお母ちゃんの前向きな考え方を力強さにしてしまう絵と文が心地良い。

まりえが中学受験の日にお母ちゃんが苦労して作ったお守りを渡す感動的な場面と最後のオチの落差に家族の温かさが込められているように感じる。

表紙を含め、こしだミカさんの絵からは、お母ちゃん、お父ちゃん、まりえのそれぞれと家族の雰囲気がゆるやかに伝わってくる。

「うちのおかあちゃん