かしわ哲「あったかさん」(小学館 1998)
サブタイトルは、「サルサ・ガムテープからのメッセージ」。
タイトルの「あったかさん」は、著者が、新潟県の中部地域のお年寄りたちが、知的に障害をもった人たちを、あ「あったかさ」と呼んでいたにヒントを得た造語で、とても心地良く、もっともぴったりくる言葉だと綴っています。
この本では、サルサ・ガムテープを結成した経緯や96年のスウェーデンでのコンサート、メンバーとの出会いの数々、ピアニスト越智章仁との出会い、舛次崇の絵画表現など自身が体験し、自身の目で確信したことなどを福祉とは違う視点で自身の想いや考えを具体的に綴っている…そこがすごい。
初期の「フライドチキン」や「水曜日はミソラーメン」が生まれ他エピソードも楽しい。
読んでいくとサルサ・ガムテープがロックンロールのライブバンドそのものだということが伝わってくる。
そして今もなおメンバーは変わりつつもバンドがゆるぎなく続いていることにロックンロールはリズムでビートで、エネルギー!を感じる。同じことを中の写真や絵にも喜びや力を感じる。
四半世紀も前の本ながら現代にも当てはまるさまざまな壁とそれを乗り越える思いを感じることができる。