Steve Forbert「Goin' Down To Laurel」
スティーヴ・フォーバートの「ゴーイン・ダウン・トゥ・ローレル」は、ファースト・アルバム「Alive On Arrival アライブ・オン・アライブ」(1978)の1曲目。
このレコードは雑音が気になるくらい聴いた思い出がある。
この曲を初めて聴いたときの衝撃は忘れない。自身の震えるハーモニカ に続き、スネアの輪を叩くスティック、ゆったりとしながらうねるようなカントリーっぽいギターの音に乾いたベースが重なり、憂いを込めたかすれたスティーヴ・フォーバートのボーカルを聴いた時に、新たなヒーローがやってきた…そう感じたことを思い出す。
数年前に、30周年記念CD〈アニバーサリー・デラックス・エディション〉(2011年発売)を買い求めた。2枚目にはボーナスとしてデモ音源やライブ音源が収められ、それなりに楽しめるが、「ゴーイン・ダウン・トゥ・ローレル」のデモ(1976)にはビックリ。ドラム、ギター、ベースの音は変わらずに、前奏を始め全体的にテンポが速く軽快で明るい曲に仕上がり、発売時の曲とはイメージがまったく違っている。どの段階で路線の変更が行われたのかは検討もつかないけれど、デモ音源の通りだったらスティーヴ・フォーバートは続かなかったと思う。
今でも4枚目まで…80年代前半までの曲は年に数回は聴き、独特の声と印象的な曲に心を落ち着かせている。
スティーヴ・フォーバートは、ジャンル分けが難しいミュージシャン。それでいてアメリカではずっとCDをコンスタントに発表し続けているのは、シンガーソングライターの鏡かな…。