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本と音楽の雑記帳

NHK・BS「ETV特集 沖縄の心(くくる) 共同売店」(再放送)

2015年放映の再放送。沖縄北部・山原地域の〈奥〉という集落にある「国頭村奥共同店」にスポットを当てた番組。

明治39(1906)年10月5日に、住民全員が出資して作った地域の売店で、沖縄でもっとも古い店。

地域の店であるとともに憩いやおしゃべりなど「ゆんたく」の場として重要な役割を果たしている。番組では、「〈奥〉の生活・経済のエンジンとして住民を支えてきた」と紹介している。売店を管理する主任を地域住民が2年ごとの交代で担当する仕組みも独特なもの。

この共同売店の原点となっていたのは、イノシシから畑の守るために、地域住民が力を合わせて「猪垣(ししがき」という石垣を構築し、その分担を決めて石垣の修繕など共同管理を地域の決めごととして行ってきたことを挙げ、それを「共同一致の精神」として、共同売店運営の理念としている。利益を追求せず、地域共同体の中心に据えることでコミュニケーションの場、行事の場として現在でも生き続けている。

健康や豊作を願ってお祝いする奥の地域行事「ビーンクイクイ」や97歳の長寿をお祝いする「カジマヤー」を番組で紹介していたが、集落こぞっての行事だということが画面から伝わってきた。

番組後半では、空襲や米軍によって焼け野原となった集落の再建の柱として、昭和22年10月5日に共同店を再開したことを取り上げ、10月5日を地域の「復興祭」としてお祝いし、放送時はにぎやかな「109年目の復興祭」を映し出していた。

戦争末期のこととして、米軍の艦砲射撃や上陸後の攻撃から村人全員が山に逃げ、リーダーの指示の元、一人の犠牲者を出さず8月3日に集団で投降したことに触れていたが、これは沖縄でも稀な例なのではないかと感じた。

「ゆいまーる」の心を中心とした「協同一致」が村人に浸透していたからなのでは…。