読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー「刑事マルティン・ベック ロセアンナ」(角川文庫 2014)

オリジナルは1965年の発表。昔の単行本では「ロゼアンナ」のタイトルだったと記憶している。

半世紀以上前の作品ながら短期間で読み終えた。素性の分からない女性の遺体の身元を調べるための膨大な時間をかけながら、スウェーデンアメリカとを互いに顔も知らない警察官同士が犯人をつかまえるという目的のために電話と手紙と電報という手段で信頼を積み重ねながら女性の身元と犯人に近づいてく…マルティン・ベックとコルベリという黄金コンビにプラスして個性的なラーソン、メランダーなどチームとしての能力の高さが警察小説として根底を支えている。また、スウェーデン国内の地方警察官の個性的でなおかつ能力のある警察官の存在…ベックたちとは毛色が違うのでなおさら…が物語の味を高めている。

物語はスウェーデンの社会・世相を映し出すシリーズであり、ベックの心や健康を含めた個人史的意味も込められている。

50年を経ても読める普遍的な警察小説。道具立てを現代に置き換えたらそのまま使えるような気がする。

マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー「ロセアンナ」