読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

本村有希子「科学のトリセツ」(毎日新聞出版 2022)

著者の本を読むのは初めて。〈はじめに〉で、「文系女子が、ひょんなことから〈科学記者〉の看板を背負うことになって20年。ひととおり科学の世界の泳ぎ方を体得した」著者が、「目にすることの多い科学技術や環境に関するニュースとどう向き合えばいいかを、私なりの視点で、なるべく分かりやすく読み解いたもの」と紹介している。

そのとおり、時事ネタや著者が伝えたい人やできごとを短い文ながら、小気味よい文で難しい言葉を使わず、ちょっとした遊び心(時には怒りを込めて)も加えながら読ませてくれる。

「イモリを愛する少年のセンスオブ・ワンダー」「天才科学者の遺言は〈ネバー・ギブアップ〉」などは、未来を託したくなる現代の子どもたちを拾い上げ、紹介している。

扱う分野の幅広さ、著者の旺盛な好奇心を根っこに、興味・関心を持つ人に会い、話を聞くフットワークの良さ、良いコラムに出会えた幸せ感。

元村有希子「科学のトリセツ」