読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

高野文子と昭和のくらし博物館「いずみさん、とっておいては どうですか」(平凡社 2022)

奇跡のような本。

昭和28年に建てた木造住宅と中の家財道具を丸ごと残して公開した〈昭和のくらし博物館〉館長の小泉和子さんが「この本に寄せて」に書いていますが、昭和30年代に少女期を過ごした2人の姉妹の日記や人形、おもちゃ類が丸ごと博物館に寄贈され、それらを「山口さんちの子ども部屋」として展示し、この本でそれらを紹介しています。

奇跡的なことは、その保存状態。本のページをめくれば判りますが、どれもそのまま遊べるほどの状態の良さ。手作りのおもちゃや人形の服の膨大さ、紙きせかえのべらぼうな数、カステラの箱で作ったドールハウスの細かさ…たっぷり遊んだ記録がそのまま息づいています。幸せな子ども時代がそのまま記録され、その記録を大事に残した親の思いが伝わってきます。

日記も楽しいし、会話を収録した2人の思い出も心の豊かさを感じます。

昭和の暮らし博物館の事務所のイラストや仕事・役割もステキです。

「いずみさん、とっておいては どうですか」