ロイ・ブキャナン CD「ライブ・イン・ジャパン」(2003)
ロイ・ブキャナンのことは、多分、1970年代前半の学生時代に何らかの情報を得ていた。友人のレコードを聴いていたのかもしれないし、音楽雑誌の情報だったのかも。
ただ気にしつつもお金が無かったのか、それほど身近に感じていなかったのかレコードを買うまでにはいかなかった存在。
時を経て1977年の日本公演を編集したライブ盤をCDで購入し、その後、ライブDVD「ライブ・フロム・オースティン」(2008)を入手して音と映像を一致させることができた。
わずか2枚しか持っていないので、全体像は分からないけれど、ギター・プレイヤーのすご技職人という位置づけ。リラックスしながら職人の技を楽しむ…自分にとっては年に1回くらいそんなひとときを楽しむには絶好の人。
両方に腰痛する曲は、「SOUL DRESSING」「HEY JOE」「SWEET DREAMS」の3曲。それぞれにタイプが違い、ギターのテクニックや音色の違いを楽しむことができる。
テレキャスターが彼のトレードマーク・ギターになっているけれど、彼ほどテレキャスターを使いこなして多彩な音を醸し出しているプレーヤーはいないんじゃないかと思う。映像で見るとどれだけたくさんの弾き方、細かさをしているのかが判る。カメラが右手のピックさばきと左手のフレットの動きをたっぷり捉えているので、さすが・なるほどと驚きを覚えつつ技を楽しむおとができる。
ライブのステージは飾り気なしで、服装もいたって質素。派手さはまったくなく、彼の弾きたいように、表現したいように、ただただそれだけに感情を込め、それでいてキードードを含め、バンド全体のサウンドを大事にしながらの演奏は、静けさと緊張、そして一気に頂点に持って行く山あり谷ありの使い分けで十分楽しめる。
ジミ・ヘンドリックスに敬意を表しながらまったく違うアレンジの「ヘイ・ジョー」はいつ聴いてもいい。最後に「フォクシー・レディ」の頭部分をそのまま演って終わるのもいい。
スーパー・ヒーローではないけれど、こういう職人の音が残って、聴けることに感謝。