読み・聴き・書きクケコ

本と音楽の雑記帳

宮沢和史「沖縄のことを聞かせてください」(双葉社 2022)

1991年に発表した「島唄」から30年、著者が通い続けた沖縄への思いを10人の人たちと交わした対話集。

あとがきまで含めて485ページというボリュームで、しかもさまざまな分野に富み、注釈もていねい、コロナ禍の中、短期間ながらも集中力あふれる編集だったことを感じます。

大工哲弘氏との対談で、ビギンの「島人ぬ宝」に触れ、宮沢和史さんは、「これを初めて聴いたとき、すごくいいなと思った…沖縄の若者たちの気持ちをつかんだ…でも、次の世代が沖縄を歌うとするなら、もうトゥバラーマもデンサー節も知っていなきゃいけない…。知らないことをいつまでも〈知らないから〉と言っていてはいけない…¥と語り、大工哲弘氏が呼応するように、「その通り!それはね、僕もずっと思っていた…。…知らないことに気づいたんなら勉強しなきゃ…勉強したことをまた発信していかなければいけない。…いつまえも〈知らない〉ままではそのメッセージが更新されていかない」と語り、「僕らは沖縄の歴史や文化というバックグラウンドがあるから、歌を歌っていられる。だったら、その沖縄のことをちゃんと知って、語っていかなければいけない」と自らに、またおとなたちに若い世代への伝承を伝えています。

全部を読むのは骨が折れるので、身近に感じる人との対談から始めるのがオススメ。著者のメッセージをこめた文も読み応えありの労作。

折に触れて読み返す、そんな読み方もあり。そのつど新しい気づきがあります。

宮沢和史「沖縄のことを聞かせてください」